2022-01-01から1年間の記事一覧

早稲田松竹にて高畑勲二本立て。つい数年前に初めてまともに見たくらいの恥ずかしい野郎が言っても説得力はないが『平成狸合戦ぽんぽこ』、狸を轢き殺して、自分がタヌキになったつもりで生きている自分含めた人間は全員この映画を見て下唇を噛みながら泣い…

ミア・ハンセン=ラブ『ベルイマン島にて』。フランス映画のようで、ほぼ英語とスウェーデン語。ベルイマン?バーグマン? 詳しくないからベルイマンの最後の妻がイングリッドという名とは知らず、イングリッド・バーグマンの(フォンがあった?)名が出てき…

『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版』

ラドゥ・ジューデ『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版』を見る。自己検閲≒金。しかし昨日思ったよりも悪酔いし、外が暑かったからか、寝不足が祟って嫌な眠気に襲われ何度か長い瞬きをしてしまう。ある意味では同じ映画館で上…

アイダ・ルピノ『強く、速く、美しい』まず母が主役?と知らず冒頭のナレーションから意外というか、爽快さみたいなものから程遠いラストを予感する。このタイミングだとどうしても『アネット』のことを連想する。アダム・ドライバー的な男は娘を連れて行っ…

ドロシー・アーズナー『ナチに愛された女』スタイルは全く違うがアラン・ドワン並に何本でも作れる監督の映画に見えたが、相変わらずの勘違いだったら申し訳ない。スクリーンプロセスの安っぽい追跡劇と爆破を終えた途端に、ラストの坂道を包む煙がいいのだ…

瀬々敬久監督『とんび』これを良いと言うと馬鹿なんじゃないかと一部から言われそうと勝手に不安になる。リアルタイムでは実感できない、ショーン・ペンの映画に泣くという感覚? 違うか。最初は『糸』より良い(不真面目だから、また一本見逃してしまった)…

アスガー・ファルハディ『英雄の証明』。映画以上に訴訟問題や、元になったらしき映画(アザデ・マシザデ本人のYOUTUBEにアップされた作品をさわりだけ見たら、やっぱりキアロスタミの影響下に間違いなくある映画で面白そうな……ここに書く前に最後まで見れば…

シネマヴェーラにて恩地日出夫監督『女体』『めぐりあい』。『女体』は『肉体の門』と同年だが『埴輪の女』(『あこがれ』が陶器なら、こちらは埴輪だ)も合わさって、過去と現在が結びつき、なぜ自分は今も生きているのか、という問いが浮上する。それにし…

アベル・フェラーラ『トマソ』を見る。このサイトで配信されているものを見たのは、ようやく三本目。ラドゥ・ジュデが終わったら解約かもしれない。フェラーラの映画自体、上映やったりやらなかったりだから、でも『地球最後の日』や『ハニートラップ』(ド…

恩地日出夫『あこがれ』を見にヴェーラへ。武満徹特集なのに「蛍の光」が頭から離れない。山田太一のドラマほとんど見てないのが、なんかもったいないことをしてきたように思う。ブラジル行きのさくら丸の出港、乙羽信子の声のかき消されているとも違う聞こ…

カラックスの『ポーラX』公開時のスタジオ・ボイスインタビュー読み直して、ブニュエル、シャブロル(ついでにリアルに富裕層を知るヴィスコンティ)に対する距離感(当時のカラックスが自らに皮肉屋のセンスはないと認めているのが興味深い)は、アダムのステー…

東映にしても、やっぱり映画は波から始まるべきかもしれない。『ゴダール・ソシアリズム』も『アネット』も波から始まった。『ポンヌフの恋人』に海を見たことがあるか、という会話は出てきたが、最近だとジェームズ・ガン『スーサイド・スクワッド』のイタ…

4/1 『アネット』初日、カラックスには会えず

いま、カラックス来てんだなあってざわめきがするなか(いや単なる入れ替えタイムかもしれませんが)『モダン・ラヴ』(今度の黒沢清の新作とまさかの同じ題)タイムだった。別にうるさいとかじゃなく、なんか興奮した。久々の『汚れた血』は記憶を上回る暗転…

ミュジドラ『太陽と影』。こちらも感動。ミュジドラは北野武より早かった!と言いたくなるラスト。ミュジドラにミュジドラは敵わない。武が参照してるのはジェリー・ルイス『底抜け便利屋小僧』だろうが。実際の闘牛士が出演しているんだなあと後で読んで知…

結局のところ、最近の日記やツイートに刺激というか、その日に見る映画を選ぶきっかけであり続ける。最近はロメールのカットバックについて、それが本当に正しいタイミングなのかはわからないけれど「官能的」というしかない、という話が頭に残って、ロメー…

小谷忠典『たまらん坂』主役をヒロインにしての「自分探し」の旅へシフトしていくのが良いと思えない(特に木の幹を抱きしめての「ママ」とかオフィリアとか)が、最後は思ったより良かった(まあツッコミ入れたくもなるが)のと、七里圭さんの声が良かった。音…

2200円高いな…と思いながら六本木まで行く予定もなくボヤボヤしていたら楳図かずお展が残り一週間になってしまった。なんだかなあと思いながら、やはり新作は気になるため見に行く(ちなみに図録はまだ出来ていず送料込み5500円)。高いと文句言うかどうかはと…

3/16②

昨日の国立映画アーカイブ「フランス映画を作った女性監督たち」特集へ。マリー・エプシュタインとジャン・ブノワ=レヴィ『美しき青春』、ジャンヌ・モロー『ジャンヌ・モローの思春期』どちらも凄く良かったので満足。『美しき青春』(1936)、ジャン・エ…

3/16①

小川プロ特集にほとんど行かなかったため(まだ後半戦ありますが)、自宅にて『クリーンセンター訪問記』。実は三里塚よりも前に見て、小川紳介本人がマイク片手にインタビューして回るオモシロ映画として漠然と覚えていて、よくわかってないくせに何だか好き…

3/11

マット・リーヴスの『バットマン』。長いと知ってたから覚悟して見た。たしかに前評判(キネ旬の星取表)通り、あんまアガんない(さすがにカーチェイスはよかったが)……やっぱ長いから? スピルバーグじゃないが謎掛け・自白、録画・再生と二回繰り返すことがか…

3/8『国民の創生』『シチリア!』

いつか見直さなければと思っていた『国民の創生』をDVDで。たぶん三回目? 記憶の中で修正していたのか、想像していた以上にはっきりと人種差別的なのは今更、わざわざメモしておく必要もないが。第一部の美しいショットのいくつかが、第二部に反復されると…

3/7『街の灯』

【ダニエル・ユイレが「リヴェットはチャップリン以来の偉大な編集者だ」って言ってたのは貴重な証言かも 「エイゼンシュテインよりチャップリンはずっと実践的」って言ってる上でのことだから】赤坂さんのツイートを読んで思い出したから『街の灯』を見直す…

『涙の塩』が配信中だったから見た。ガレルといえば映画館でフィルムで見るものなんて考えは瞬間的によぎっただけで、少なくとも10年以上前にとっくに捨てたつもりだが、こうして映画祭だか特集上映だか上映やってから、あっさり配信か、というのも何かステ…

サボって何本も見そびれたままのアピチャッポンだが久々に『メモリア』。ティルダ・スウィントンがジョン・ハートに見えなくもないくらい、はっきりしない意識のまま。睡魔が襲うたびに物音に起こされ具合が悪くなりそうなくらい調子を狂わされる(本作の評を…

人の真似して梅崎春生を読み始めたが、最近読書長続きしなかったのが嘘のように読める。翻訳文学から先にとっつきにくくなるのか?とショックではあるが。とにかく『つむじ風』上巻読了。徴兵されて上官になる道も進んで逃れて敗戦後は自ら無能な上官になっ…

シネマヴェーラにて古川卓巳『逆光線』。 古川卓巳といえば特集でもされたらコンプリート目指して日参したい監督の一人なのに、たぶん名高い『麻薬3号』さえ見逃したままだが、やはり面白かった。しかし古川卓巳とは。『大学の暴れん坊』のラスト10分近く…

鈴木史さんの告知を見て、三谷蒔「ありのままの事実に対する抵抗」。たいした感想をその場で言えなかったのでメモを。レースのカーテンに仕切られた空間は、祖父の創氏改名についての話から始まる。ハンガーにかけられた祖父の遺品のジャケットと対になるよ…

これまで知人と話題になるたび見ているフリしてきたスピルバーグ『続・激突! カージャック』をついに自宅で見る……。思い描いていたイメージよりも、ずっとスピルバーグらしいというか、非常にヘンな映画だった。これを『ET』や『未知との遭遇』より前に見る…

恵比寿映像祭へ。ビー・ガンはいつかつまらなくなりそうな不安はあるけれど、まだ面白かった。今回も異なるタッチの映像をつなげてるとも、つなげてないともいえるというか。才能か。川下りの向きが1カットだけ逆転したように錯覚する。話は頭に入らなかった…

スピルバーグ版『ウエスト・サイド・ストーリー』。噂通りスピルバーグ印てんこ盛りな映画として廃墟を孤児たちが動き回る。スペイン語を使うな、という台詞が繰り返されるが、最もわかりやすく男女の仲が深まる時にスペイン語も英語も使って二倍になるのも…