『日本原 牛と人の大地』

国葬の日に足立正生の映画も(フォードやミレールの映画も)見ず、ポレポレ東中野にて好評の(葛生さんの以前の職場での同僚という)黒部俊介『日本原 牛と人の大地』を見たが、これは正解だったように思う。個人的には菊川で見た『ゴダールのマリア』のわく…

「」(Frame/Border) 企画:そこからなにがみえる 感想

「そこからなにがみえる」の企画【「」(Frame/Border)】へ行く。『王国』明転上映では、薄明りの中での(ある意味では観客に対して優しくない)上映のスタイルが、作中の人物の「役」なのか、その人自身というものかわからない姿を見ているこちらも「観客…

菊川にて『右側に気をつけろ』。全然忘れていたがレ・リタ・ミツコも机叩いたり、ちょっとだけ演じていた(芝居というほどでもないが)。別に今更自分ごときが何か言う必要もないが(それは本作に限らないが)こんな映画は結局これ以外に見たことないかもし…

菊川ストレンジャーにてゴダール『パッション』久々に見直す。『ピノキオ』のビームもヤバいが、空と飛行機雲のガクガクになるショットが改めて見ると「これが許されるのか」と唖然とする。監督(この名前は覚えられない)が刺されてから、ユペールと会話す…

マチュー・アマルリック『彼女のいない部屋』あれよあれよという間に……(と黒沢清監督が書いていた)な映画で、よくわからないところもあるが悪くない、良い感じの映画だった。『バルバラ』もそんな映画だったが。マルセル・アヌーンの四季シリーズのことも…

たまに『炎のデス・ポリス』を「傑作とかではないが面白い」とか「まあ、普通」といった感想を聞くが、どうせそれは自分が映画よくわかってないから思うんだろうと被害者意識で黙って聞いてはいるが、本音では、これこそ傑作であって、正直今年これより胸の…

カール・ドライヤー『奇跡』@早稲田松竹

カール・ドライヤー『奇跡』@早稲田松竹。父親同士のやり取りにて、娘の側の親が席の反対側へ移った時に、相手を呪う態度に変化する。医師が去ってから窓の外を父子が見る時に、窓の外側から彼らの顔を撮るよう切り返す時、両者の位置が入れ替わる。こうした…

眠りの浅い日が続く。早稲田松竹にてカール・ドライヤー『怒りの日』と『ゲアトルーズ』を見る。『ゲアトルーズ』(だけでもないが)を見ると、はたして自分は必要以上に身構えてしまっているのか、集中しようとしているのに大事なところをわかっていないま…

『サンガイレ、17才の夏。』(アランテ・カヴァイテ)

hj3s-kzu.hatenablog.com こちらの2015年ベストにて(新人監督賞として)名前を知ったアランテ・カヴァイテ『The Summer of Sangaile』(劇中のタイトルはSangailė)がようやく日本語字幕付きで配信されたから見た。 www.jaiho.jp Sangailė(サンガイレ)は…

自宅にて青山真治監督『EM エンバーミング』を見直す。これも「好きな青山作品は?」と聞かれて名前を出した覚えがあるが、やはり全然覚えていなかった。南北戦争に始まって、ジョン・フォードから統一教会(「結婚」という主題も絡んでくる)まで、これで青…

『ナナメのろうか』(監督:深田隆之)

www.youtube.com natalie.mu www.itchan-and-satchan.com umi-theater.jimdofree.com 『ナナメのろうか』を見ながら、筋を、構成を、台詞の意味を、何かを追おうというのを避けたかった。タイトルも、なぜ(前作に続き)女性二人なのかも、モノクロなのかも…

自宅にて青山真治監督『シェイディー・グローヴ』を見直す。なんとなく「青山作品で一番好きなのは?」と聞かれて本作を答えた思い出もあるけれど、容易に好きと言ってはいけない暗さというか、掴みどころのなさというか……主人公が宣伝会社に辞表を出す、映…

ラドゥ・ジューデ『若き詩人の心の傷跡』。ルーマニアのユダヤ人作家Max Blecherのサナトリウムでの日々についての映画。最後の墓を見て、彼の生没年が山中貞雄と同年と気づく。やはり本作でも戦争・ファシズム・ユダヤ人差別・論争とも喧騒ともつかないやり…

前の晩に恩地日出夫『戦後最大の誘拐 吉展ちゃん殺人事件』を見たせいか、うまく寝付けず仕事でミスを繰り返す。このラストの晴れなさをもってフライシャー『十番街の殺人』を連想していいとは思わない。終盤に平塚刑事役で芦田伸介が現れて(詳しくは知らな…

自宅にDVDが届いたから恩地日出夫『伊豆の踊子』(67年)を見る。黒沢年男の書生?と思いながら見始めたけれど、これも良い映画だった。終盤の海の実際に見ても、こうは見えないんじゃないかという色が凄かった。結局黒沢年男がお座敷では見なかった(窓越し…

三回目のワクチン接種を受けてから、翌日の夕方シネマヴェーラの郷鍈治特集にて葛生雅美監督『昇り竜やわ肌開帳』。しかし映画を見ながら副反応なのか一気に肩がこって眠気に襲われ、三分の一くらいは覚えていないし、由利徹の出番は丸々見逃した。しかし意…

オンライン上映のマルコ・ベロッキオの99年作『乳母』を見た。「自由よ!」「自由な女でいてくれ」がまず記憶に残る。次に比べるべきじゃないだろうけど『ベイビー・ブローカー』より赤ん坊が映画の中にちゃんといるというか、ベロッキオの映画でよく見る夜…

マーティン・キャンベル『マーベラス』。マギーQの女殺し屋映画。かつての救い主、師、今は相棒のサミュエル・L・ジャクソンの70歳祝い(嘘だろと思ったら本当にオーバー70だった)にギターをプレゼント。見ていて心温まる時間。ロバート・パトリックとの時…

フィルメックスにて見逃していたホン・サンス『川沿いのホテル』を配信で見る。『イントロダクション』でもあった実際の製作期間を告げる冒頭だが、ここでは役者が読み上げる。ホン・サンスの映画でのモノローグは近年ではかなり少なかったと思うが、今作は…

『インヒアレント・ヴァイス』も『ファントム・スレッド』も好きではなかったが『リコリス・ピザ』は面白かった。ショーン・ペン、トム・ウェイツ、ブラッドリー・クーパー、ガス欠(あのハンドルさばきとマジ顔は冷や汗が出た)とヤバすぎてどうなることか…

テッド・フェント『Short Stay』

テッド・フェント『Short Stay』。ロメールの人物から一切の冴えを剥奪したような人物たちとその展開。最後の方で、男が立ち去る、その背中を見送る二人の女、時間的な飛躍がないショットを挟んで、女たちと男の再会、公園で寝そべる3人という流れとリズム…

昨日は月曜日休みだったが諸事情から職場に寄ったところ、いろいろあって、なんだか疲れてしまい、結局特に映画を見ないままキノコヤへ行き、日の沈む前に飲んだビール2杯だけで酔いが回って、すっかり使い物にならなくなる。そしてまた悪口でしかないつまら…

河瀬直美のオリンピックは見る気になれず、是枝裕和の『ベイビーブローカー』を見る。予告を見る限り夏の映画っぽいから、異常気象真っ只中の東京に相応しい気はしたから、その辺の売るセンスがやはりあるかもしれない。そして相変わらずメシ(辛ラーメンと…

ホン・サンス『イントロダクション』。クレジットによれば2020年2月〜3月撮影。昨日のアヌーン『夏』とほぼ同じくらいの66分、モノクロ。こちらは冬の映画だが。第2パートの舞台はドイツ。見ながら、かつて某所でのルドルフ・トーメ研究会に呼ばれなかったこ…

録画したバーバラ・ピータース『モンスター・パニック』を見る。悪名高い救いのないラストはすでに知っていたが、いい加減勇気を出して見た。養殖用に二倍近く成長するサケ(このあたりにロージー『鱒』を強引に連想)を食ったシーラカンスが出鱈目に進化し…

アダルトサイトにアップされているので注意ですが。ジャン=クロード・ルソー『Le Tombeau de Kafka』(カフカの墓)。同志社でのルソー上映会にて見逃した新作の感想を知人が「学生が撮ったら講師から叱られそうなくらい凄い」と言っていた覚えがあるが、そ…

阪本順治『冬薔薇』、オクラ入りしかけたとしか思えないアンドロイド映画に続き、もしくはそれ以上にフラストレーションのたまる危うい映画。あと30分長くして因縁にケリをつけるか、100分のまま話の進め方を変えることも、明らかにあえてそうしない。そうい…

6/9の日記、ジョアン・ボテーリョを見た二日後に『東京公園』を見直す

国立映画アーカイブにてジョアン・ボテーリョ『リカルド・レイスの死の年』。遅れてきた人だから未見作ばかりのせいか(いや、オリヴェイラだって『繻子の靴』とか見逃したままだが)、予測できない(相当に奥深く豊かな魅力のありそうな)巨匠の一人の映画…

アテネ・フランセにてワイズマン『インディアナ州モンロヴィア』。ワイズマン史上、最も微妙な評判の一本をついに見たが、既に自分の感想か人の感想の受け売りかわからないが、なるほど、なんともしんどいような、興味深くはあるが。ワイズマンのシニカルさ…

そろそろ我慢できず旧作を見直さないまま『トップガン マーヴェリック』。初っ端からどーなっちゃうのと、まさかタイムスリップして死んだ友人を救うとか?(バカな!)と思いきや、久々に実験して煤まみれになるギャグを見るとは予想しなかった。「考えるな…