2024-01-01から1年間の記事一覧
www.shimotakaidocinema.com Tweets by todesfilm x.com ありがたいことに『トレンケ・ラウケン』を一足先に自宅で見ることができた。4時間以上とはいっても二部構成、全12章と見やすい。しかし厄介に違いない。ラテンアメリカ文学を図書館で借りてきて、そ…
確信犯的なクドさが面白い。90分あたりで収まりそうなところを踏み外しつつ、2時間いきそうなところで切り上げる。通常より長すぎると感じさせる勇気がある 。 離婚の理由も曖昧どころか、いっそ無いのだろう。不倫相手になりそうな人も特に関係してこない。…
www.tokyoartsandspace.jp TOKAS本郷にて「そこからなにがみえる:二つ目の試み」(遠藤幹大、草野なつか、玄宇民)を見る。最後の上映作品の途中から入場したためか、ギャラリーの二面スクリーンによるインスタレーションとして見始めたが、改めてプログラ…
『春をかさねて』(佐藤そのみ)。終盤の台詞を借りれば「立派に生きること」と「自由に生きること」との葛藤の映画といえばいいか。それでも作品自体は「立派」に落ち着いて見える点が引っ掛かりはするが(それは震災と関係なく喪失感を描く「インディペン…
https://peatix.com/event/4212675 ジョアキン・ジョルダ『Numax presenta…』(79年)を見る。フランコ政権崩壊後、77年にヌマックス社は経営陣が工場を不正に売却しようとする。しかし労働者たちの抗議により、経営陣は一方的に工場を閉鎖。抵抗として労働…
北千住にて7度による『三月の5日間』を見る。岡田利規の芝居は見たことも読んだこともない。それどころか『ホーリー・モーターズ』上映後のレオス・カラックスとのトークで、あまりにも映画と関係ないどころか、単純にカラックス理解にも会話にもならない話…
東京藝術大学大学院映像研究科の上映会で『鯨の骨』を見直す。初見時より一年近く過ぎて、自分が主演女優の顔や声に対して抱いていた色眼鏡のようなものも外れて、その巧みさを留保つけずに集中して見れた(最後の喫茶店での言葉なく見せる姿から訴えるもの…
ジェフ・ニコルズ『ザ・バイクライダーズ』。ほぼ宣伝らしい宣伝を見ないうちに唐突に公開されてた。 それ以上にこれが本当にどんな映画か、そもそも誰が出ているのかさえ、よくわからないまま見て、そして何ともいえない感情を持ち帰る。それはモヤモヤした…
コッポラ『アウトサイダー コンプリート・ノベル』『ワン・フロム・ザ・ハート リプライズ』を見る。過去に自宅で見たバージョンと、いま映画館で見たものが同じなのか、そもそもよくわからず、むしろ自分の方が変わったような気がしなくもない。『ランブル…
これほど前半積もりに積もった負のイメージに対して後半から転調できたのは脚本協力に大江崇允がクレジットされているからだろうか。終盤くりかえされる事故そのものの撮り方や、ラストカットの光の見せ方はあれでよかったのかなど、この監督に対する印象が…
おなじみの自作自演に対して、ハンガリー動乱期のイタリア共産党とサーカスを題材にした撮影中の劇中劇と行き来しつつ、毎度のことながら終盤に向かうにつれ飛躍していく。ナンニ・モレッティも70歳を過ぎて「ロシア以外に共産主義者っているの?」なんて言…
見始めてからリトルモアだと知る。 リトルモアの映画は『舟を編む』から毎度リトルモアと知らずに見て、上映始まってから気づく。それはリトルモアの戦略か、単に自分が情弱なのか。 また綾瀬はるかが連れて行く子が『こちらあみ子』と同じと最後までわから…
東京国際映画祭にてゴダールの『Scénarios』。DNAとMRIの二部構成。映画作家とMRIというと『監督ばんざい!!』を思い出す。北野武の新作も同じ話を二回繰り返すらしいが、ゴダールのシナリオも二回繰り返す。しかしゴダールの過去作で、二度同じような冒頭…
アルベール・セラ『孤独の午後』。 ファーストカットが牛。 次のカットも牛。 三カット目が車内の闘牛士を正面、やや仰ぎ見る(車内のアングルはほぼここからのみ、 一回だけ車窓のカットあり)。周りのメンバーたちも後景に映る。以前にお世話になった方と似…
アルトゥーロ・リプステイン『聖なる儀式』。勝手にキワモノを予想していたが(サービスカットもあるが)意外と地味。 『深紅の愛』は『ハネムーン・キラーズ』という凄いカットが続く不世出の名作がある分、単純に長すぎる、かつ出頭前の母子殺害はさすがに…
東京国際映画祭にて『英国人の手紙』(セルジオ・グラシアーノ)。上映後の舞台挨拶では、やはりパウロ・ブランコが拝めてよかった。恥ずかしながら原作のカルヴァーリョのことは全く知らず、脚本のジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザも検索して邦訳が出て…
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(アレックス・ガーランド)。なかなか面白かった。戦争映画・従軍記者の映画というよりロメロの衣鉢を継ぐようなアクション映画に近い……とか思ったが、既に千浦さんがTwitterに書いていた。銃撃戦の合間に写真を挟む編集…
田坂具隆特集にて『雪割草』(51年)。後半になり三條美紀が夫の宇佐美淳也を迎える場面になって、その手で触れる一つ一つの仕草のアップからサイレント期の画づくりが移植されたようになる。それでも音声面が後退するわけでもなく、少年は玩具の電話を手に…
田坂具隆特集にて『長﨑の歌は忘れじ』(52年)『月よりの使者』(34年)。『長﨑~』は『愛の町』(28年)と構成は近く(盲目の人物が異国の地にいる人の帰りを待っている中、相手が既に亡くなっていることを知る人物が訪れ、最初は頑なに心を閉ざすも最終…
田坂具隆特集『路傍の石』からスタート。誠に恥ずかしながら原作未読(読むべきとは常々思ってます)。そして今まで内緒にしてたが「学問のすすめ」さえ未読(明日にでも読まなければと思ってます)。「学問のすすめ」を朗読し、ようやく開けた中学進学への道の…
友情において、相手に「変わってほしい」と願うのは難しいもので、同時に「変わってほしくない」ものとしての友情を見出す作品かもしれない。野球部キャプテンが減点されるシーンで、その様子を笑う主演男子二人の姿など、微妙にこじれそうで付かず離れずな…
ジョージア映画祭期間延長のおかげで劇場に間に合った。ちなみにネット上にアップされてるものは(ok.ru.とか)ロシア語吹き替えだった。馬車が浅い川を走り抜けるロングに繋げて、揺れの音やぐらつきを引いた画で見ることで変化が波のように際立つ。その波は…
ティム・バートンの『ビートルジュース ビートルジュース』も見た。『ダークシャドウ』あたりからオープニングが常に優雅だが、本作の空撮からミニチュアへと、いつの間にか(最初から?)変わって、屋敷の窓辺へ向かう冒頭部の貫禄にも感動した。ジェニー・オ…
黒沢清『Cloud』。 『Chime』と『蛇の道』より良いとか悪いとかより、三本セットみたいな印象。3作が同じ舞台で繋がってても驚かないというか、むしろ廃工場に着くと、そう見せている気さえする。作品間を跨ぐ要素を入れて、結末や細部を曖昧にするのはVシ…
『SUPER HAPPY FOREVER』(五十嵐耕平)。足立智充の出番は安定感がある。いかにも『雨月物語』みたいな流れで、扉をあけてきた彼女を追いながらパンして2018年にジャンプし、エレベーターから降りてきた人物を追いながら視界に映り込むホテルのロビーの賑わい…
・アンダース・エンブレム『ヒューマン・ポジション』を見る。癒し系に非ずというのはわかる。記者の取材は内容に関わらず記念撮影のようでもあり、同時に記事に対して相応しいか、演出されすぎて見えないかの塩梅は気にする。結果、映画の調子も意図的に淡…
これまで見たことのない(不勉強で大変申し訳ございません)山田尚子監督の『きみの色』を見る。カット尻の短いわりにシーンごとの時間はゆったり描かれて見えて、それがまどろっこしい割に人物の背景みたいなものがなかなか語られず、勿体つけているだけじ…
リンクレイター版『一度も撃ってません』というかジェリー・ルイスの『底抜け大学教授』を彷彿とさせる人間の二面性をめぐるコメディなので『底抜け殺し屋稼業もラクじゃない』みたいな邦題が相応しい……なんて思いながら見ていたが、既に荻野洋一氏のレビュ…
どちらも久々に見る。前者の柳ユーレイ、後者のダンカン、続けて見ると黒沢清の(もしくは脚本の高橋洋・西山洋一による「復讐」という題材の、または哀川翔という役者の)A面B面という印象になるのも、北野武のこだわる二面性(新作『Broken Rage』もその試…
過去作では男女もしくは女同士の二人組が中心にあった印象だが、本作の河合優実に対して金子大地が主役と拮抗する存在かは怪しい。観客として、はたして最初の同棲相手である(甲斐性も可愛さもある)寛一郎を捨て、金子大地を選んだ先を見ていられるか。ど…