レニー・ハーリン『ブリックレイヤー』

レニー・ハーリン『ブリックレイヤー』を見る。
仕事が忙しくなると「映画なんか見てる場合じゃない」と大半は後回しになるのに見てしまった。最終的には「見てる場合じゃない」映画かもしれないが悪くない。いや、本当はもっと良くも悪くも今つくられている映画を見なくてはいけない。そうしなければ、この映画が本当のところどのような位置づけにあるのかわからないままか。
元CIAがレンガ職人として活躍する序盤の『クリフハンガー』的な殺し合いに興奮。高い所と痛い所には目が行ってしまう(できればこの設定をさらに活かしてほしいが、忘れたように終盤の掛け合いで拾うのに心ほだされる)。というか相変わらず一々残忍である。特にクラブで敵を次々殴る場面のカメラの動きはブレブレなのに不思議と軸のある感じ(相手の方から次々向かってくる)がよくて、どこか間が抜けた応酬もあって面白い。俯瞰や複数人のショットを入れるテンポのよさ。犬アレルギーも気が効いてるような(なぜ犬がいないのにくしゃみが出たのだろうか)。どれほど真剣に見るべきかわからない物語で裏切りの繰り返しだが、最終的にはかつての友人、恋人とのやり取りが流れるように油断して見ていると不意にグッとくる。マイルス・デイヴィスも単にそれっぽいだけといえばそれまでだが良い。胡散臭い金の流れで、仕事だからと本当に撮りたい題材かわからない、彼の映画は全肯定できるわけもないが見続けるだろう。