2014-01-01から1年間の記事一覧

青山真治演出『ワーニャおじさん』が素晴らしかった。ひどく少ない観劇経験の中でだが、それでもこれほど素晴らしいものを見れるとは思わなかった。すべての役者の発声、歩き方、ほんのわずかの暗転をはじめとした照明、台詞の中に満ちた絶望、そしてラスト…

鈴木卓爾『All night』『ゾンからのメッセージ』

映画美学校映画祭2014上映作品 | 映画美学校 鈴木卓爾『All night』『ゾンからのメッセージ』どちらも面白かった。かたや上映会場とほぼ同じキノハウス(渋谷)での二日間の撮影での戸惑い、かたやおそらくそれ以上には長い時間を深谷での合宿で過ごしたひた…

ウジェーヌ・グリーン『ポルトガルの尼僧』は向かい合った二人の切り返しがメインという撮り方で濱口監督『なみのおと』など思い出すが、断然こっちのほうが好み。少年からヒロインへカメラが移動するカットに感動。

『リベンジ・ファイト』(ダミアン・リー)がよかった。セコンドにジェームス・カーンとマイケル・アイアンサイド(ほとんど活躍しない)が立っているとか、母親がアイルランド移民という設定とか、円卓の騎士の物語からはじまって映画全体を貫く円環運動の…

ダミアン・リー『リベンジ・ファイト』

https://www.youtube.com/watch?v=deR9Tm45pnY セコンドにジェームス・カーンとマイケル・アイアンサイド(ほとんど活躍しない)が立っているとか、母親がアイルランド移民という設定とか、円卓の騎士の物語からはじまって映画全体を貫く円環運動の、最後に…

『受難』。『ともしび』の壁・天井越しの恋愛が岩佐真悠子の上半身と下半身の間で今度は交わされる。自らの身体の一部なのに、鏡を使わなければ互いに顔を見せることもできない関係(女性器の古館寛治は大半のシーンで彼女の行動を声でしかわからないのか?…

中島貞夫『安藤組外伝 人斬り舎弟』、予想の斜め上をいく不思議な映画。終盤まで目立ったキャストの死が画面ではっきりと示されない。梅宮辰夫とその子分からいくら滅多打ちにされても(子分が梅宮辰夫に「それ以上やったら死んでしまいますよ!」と止めるほ…

小沼真也『ユートピア』@法政大学Ⅱ部映画研究会

今日は母校(法政)の学祭で『ユートピア』(小沼真也)が見れてよかった。今すぐ学外で見られるべきかは正直躊躇するが、可能性を感じる。合宿の二日間で撮影されたことによる荒っぽさはあるが(特に俳優のアップのいくつか。照明が原因。ただし後半のヒロ…

セドリック・カーン『ワイルド・ライフ』

セドリック・カーン『ワイルド・ライフ』、窓辺や隙間から遠くの人物を見つめるカットを繰り返すが、その見る側・見られる側の距離が突然近づき、常に見る側の子どもたちに寄り添うと思われていたそれまでの流れがわずかに変化する。『捜索者』をインディア…

『ワンピース』セレクション@PFF

ここのところお世話になっているかたからのお誘いを断って、不義理だと本当に申し訳なく思いつつPFF『ワンピース』ベストセレクションへ。矢口史靖監督作は『カメレオンマン』『豚に真珠ハイパー』が面白かった。『カメレオンマン』はトークでも触れられてい…

消失する回路

『消失する回路』 「身体の内に別人格を意識する女」が「身体の外から人間の生活を覗く男」を探すこの映画では、当然男の立場と観客が重なりうる。女、男、観客という三者の見る行為が、ある種の無力感や快楽などを経て、見つめ返されるという恐怖が生じる。…