セドリック・カーン『ワイルド・ライフ』

セドリック・カーン『ワイルド・ライフ』、窓辺や隙間から遠くの人物を見つめるカットを繰り返すが、その見る側・見られる側の距離が突然近づき、常に見る側の子どもたちに寄り添うと思われていたそれまでの流れがわずかに変化する。『捜索者』をインディアンと連れ去られた子どもたちの目線から変奏したような映画で、焚火を前に家族の過去が語られるシーン(この映画の数少ないフィックスで撮られたカット)では、時に災厄を呼んだインディアンの歌声が、少なくともここ数年で最も美しく響いたかもしれない。