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昨日の国立映画アーカイブ「フランス映画を作った女性監督たち」特集へ。マリー・エプシュタインとジャン・ブノワ=レヴィ『美しき青春』、ジャンヌ・モロージャンヌ・モローの思春期』どちらも凄く良かったので満足。
『美しき青春』(1936)、ジャン・エプシュタインの映画は実はそこまで好きではない(勉強として見てはいる)が、こちらは断然いい。医学部を舞台にした青春映画。薬品管理の杜撰さも(「規則はそうなってますけどね」的な)別に古びていないような気がする。撮影はアベル・ガンスからブレッソンの映画まで支えるレオンス=アンリ・ビュレル、へこたれない蟻さんの頑張りも泣かせる。
ジャンヌ・モローの思春期』(1979)、1939年第二次世界大戦前夜の南仏。冒頭の巴里祭から終盤のヒトラーまで、窓枠と音声によって伝えられる出来事。両親を仲直りさせる樹々の涙(一種の媚薬?)のジャック・ドゥミの世界のようといえばいいのか、モノローグと共に魔女のもとを訪れ、両親の間に言葉は交わされないパーティーの席上で、娘はワインに樹々の涙を注いで、それをおそらく気づかぬまま両親は口につけることになる。物語上は少女の目を通して、大人たちの現実的な関係が繋ぎ合わされる中(そこに役者の監督作らしさもあるといっていいのか)、最も夢のような、魔法の力を信じようとする美しさがとても素晴らしいのだが、あえてそれでも母のユダヤ人医師との恋は終わらない。夫婦の和解の接吻を、彼の視線を知るかのように妻が手で口元を隠す瞬間がまた泣かせる。ブレッソンの『白夜』ばりに裸体を見せる少女には驚くというか、やはり引いたが。それでもいい映画。デュラス『インディア・ソング』やベロッキオ『虚空への跳躍』にもかかわった(IMDBで調べて知った)ピエール・ゴタールの旋回するような撮影もよかった。

今夜こそは6時間以上寝るつもりだったが地震により起こされ調子狂わされる。