『ブードゥーマン』(または『アンニー可愛や』のこと)

『アンニー可愛や』(25年)がよかったウィリアム・ボーディンの『ブードゥーマン』(44年)がアマプラにあったので見る(既にブロードウェイのDVDが出ていたのも今更知る)。なんと主役がB級映画専門の脚本家という設定(ブードゥー・ゾンビ映画の脚本も書…

1/8『ノーマ・レイ』『アメリカ合衆国ハーラン郡』

マーティン・リット『ノーマ・レイ』。そもそもこれまで見ていなかったのがやや恥ずかしいかもしれないが、この機会に見れてよかった。紡績工場の組合作りのための集会を開けないか、ノーマが長年通ってきた教会の牧師へ頼むも(私、ここで懺悔もしたよね、…

1/7 『フェイクシェルター』覚書『Oxhide』バーバラ・ハマー初期作品集『アンニー可愛や』

1/7 年末上映した作品について原龍之介さん(『縺』監督というか法政大学Ⅱ部映画研究会の後輩です)がnoteに投稿されています。ありがとうございます。 note.com MK2のサイトにてリュウ・ジャイン監督・編集・撮影・出演『Oxhide』(牛皮)を見る。解説によれ…

1/6

1/6 出勤前にジョージ・キューカー『奥様は顔が二つ』を見直す。グレタ・ガルボの引退作と言われているからかもわからないが、昨日の『恋をしましょう』のイヴ・モンタン以上に似合っているのか似合っていないのか、そもそも役者にとって合う合わないとは何…

1/5

出勤前に自宅にてジョージ・キューカーのそういえば見逃したままの『恋をしましょう』を初めて見る。やっぱキューカーは凄いという、当たり前のことかもしれないが……。まあ、これまで見なかった自分を恥じるくらいには凄い。 こんな程度のことでも書き溜めて…

1/4 Ad Mornings『青空恋をのせて』『泣き濡れた春の女よ』『にわのすなば』

午前中は前日の酒がなんとなく抜けてないのか寝不足なのか、最近は本当に使い物にならなくなり、映画を見ようとしても途中で止めて寝てしまう。 なんとか起きて本郷へ向かいAd Morningsの展示を見に行く。たいした感想も言えないが清原惟監督の参加した『ユ…

1/3

1/2 夜まで仕事してから飲んで夜更かししただけ。 1/3 いつの間にか「駄目とはわかってるけど嫌いになれない人」から前作の評判が悪すぎてすっかり駄目な監督になったらしいショーン・ペン『フラッグ・デイ』を見る。実話要素も恐ろしく薄く、親父と娘ばっか…

1/1

1/1 朝から時代劇専門チャンネルにて前田陽一『次郎長青春篇 つっぱり清水港』。吉田喜重「メヒコ 歓ばしき隠喩」の刑務所での演劇活動やコロンブスの手記などを指していう(ルドルフ・ヘスまで含まれるだろう)「劇中劇を生きる人々」という主題を、かつて…

2022年ベスト

もう明日は仕事なので、よいお年を。 ・思い浮かんだ順『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(ジェームズ・キャメロン)『アネット』(レオス・カラックス)『炎のデス・ポリス』(ジョー・カーナハン)『グリーン・ナイト』(デヴィッド・ロウリー)『ノ…

『ゲット・クレイジー』『おかしな求婚』

stranger.jp 12/29 チョン・ジェウン新作に感動した後にアラン・アーカッシュ『ゲット・クレイジー』を見にストレンジャーへ。陽性の『爆裂都市』というか。『爆裂都市』をザッカー兄弟が撮ったような。と思ったら『フライングハイ』みたいにしろという製作…

『猫たちのアパートメント』(チョン・ジェウン)

www.pan-dora.co.jp チョン・ジェウン『猫たちのアパートメント』を見る。パンフレットを読む限り、おそらく公には上映されていない9時間版があり、二、三回の休憩さえ挟んでくれるなら絶対に見たい。 再開発による建て壊しの決まったトゥンチョン団地は住民…

告知:「茶会記PLAY-ACT vol.12」にて拙作の上映あります『フェイクシェルター(または古典絵画の巨匠たち)』

告知です。 イベントそのものがかなり土壇場で決まったものなので、告知も開始後になってしまいました(申し訳ありません……)。どれぐらいかといえば会場のサイトに情報が掲載されていないくらい、ほぼ何も告知がない状況です。 下記のイベントにて自作の上…

三宅唱監督『ケイコ、目を澄ませて』を見る。『アバター』と同日公開で、言語と手と水辺が通じる偶然。『呪怨』に続き背後を横切る誰かのことを気づかないというカットが出てくる。鏡や写真に誰かが入り込むための場所があって、でもそれを単純に幽霊と結び…

まさか渡邉寿岳×荒井晴彦なんて!と片嶋一貴『天上の花』を見に行く。予告では渡邉さんと気づかなかったが、『VIDEOPHOBIA』や『夜を走る』の撮影と同じと言われたら、ほぼ納得してしまう。たむらまさきの最後の長編の監督と渡邉寿岳が組むのも奇縁だ。変な…

『にわのすなば』トークありがとうございました。

pole2.co.jp ↑今後のトークのスケジュール掲載されています。 garden-sandbox.com 昨晩は『にわのすなば』ご来場いただいたかたも、気にかけていただいたかたも、なんとなくスケジュール的に無理があったんじゃないかという方も、皆様ありがとうございます。…

告知 12/14『にわのすなば』上映後のトークに参加します

ギリギリですが告知です。12/14(水)『にわのすなば』上映後に黒川幸則監督とのトークに参加します。映芸にいた頃や、昨年の鈴木史さんの上映など不慣れなままトークに出たことはありますが、映画館での上映後は初めてです。トーク緊張によりおそらく頭まっ…

甫木元空監督『はだかのゆめ』を見る。『はるねこ』もどこへいくのかよくわからず疲れたが『はだかのゆめ』も苦手だった。最初から最後までずっと息切れしてるというか、終わり続けているような映画というのか、ラストカットがまたあんな感じなので、全てが…

『川のながれに』

https://kawano-nagareni.com/ 国アカでの『WiLd LIFe』上映後の青山組同窓会トークでも面白かった杉山嘉一監督『川のながれに』を見る(過去作は未見)。立ちこぎボードでのんびり行く映画かと思いきや、女性三人ぞろぞろ出てきてアラサー男子のモテ期映画…

デヴィッド・ロウリー『グリーンナイト』を見た。見る前は何もかも美しい世界とか連想したが、ああ、デヴィッド・ロウリーってこうだよねと気づく。久々に誰が何やら役者名もわからないまま見終えた。というかてっきり主役がアダム・ドライバーだと思いこん…

『アムステルダム』デヴィッド・O・ラッセルの映画は随分前に尊敬するHさんから「君はあんなごっこ遊び映画が見たいのか?」と詰問(というほどでもないが)されて以来すっかり遠のいてしまった。といいつつ『ハッカビーズ』や『世界にひとつのロマンティッ…

書きそびれたというより黒川幸則さんご本人に確かめて言うべきかもしれないと思い、何となく書かないままにしてしまったが、ピンク映画デビュー作の『淫乱生保の女 肉体勧誘』が97年、その後は脚本作がJMDB見ただけで何本かあるけれど、おそらく次作の『感染…

山形ドキュの東京上映にてルイス・ロペス・カラスコ『発見の年』200分2分割画面どん詰まりの酒場での老若男女の語りが続き、そのドラッグをめぐる話題も多く『チェルシー・ガールズ』かと驚き、これならいける!と思うが(実際参照したらしい)下手したら美…

フィルメックスのあたりの日記②

太田達成『石がある』または石ガール? 前作『ブンデスリーガ』も何がいいのかさっぱりわからない突き放しただけの映画だったが、これも死ぬほど退屈とまでは言わないが、かなり見ていてしんどい。加納土についていく小川あんという組み合わせが、微笑ましい…

フィルメックスのあたりの日記①

黒川幸則監督『ある歯医者の異常な愛』を見る。「変態!インポ!歯医者!」(ここが一番笑った)の日常がユルユルと続く。武智鉄二先生へのオマージュかもしれないプッシー・ティースがちょっぴり出てきたり、毎朝忍び込んではケーキをプレゼントして虫歯に…

七里圭監督『背』。上映後は監督自身による吉増剛造の朗読つき(聞けてよかった)。イメフォでの8ミリ作品上映時も「僕はほとんど何もしていません」と仰っていて、今回も「何もしていないに等しい」そうだが、『TOKYO!』メイキングでのポン・ジュノと香川照…

黒川幸則監督『淫乱生保の女 肉体勧誘』これは過去に自宅で二~三回見直して、実は苦手な映画だったかもしれないのに、『にわのすなば』をきっかけに再見して、今更感動する。そもそも冒頭の腹話術人形をつかう赤髪の川瀬陽太が生保レディとオフィスでセック…

■絵と映像 「キャンバスは工場を映す」、黒川幸則<鋳物工場の仕事>(タイトルなし)

「スペースとプラン」にて井上文香展&黒川幸則<鋳物工場の仕事>(タイトルなし)の記録映像を見る。およそ90分? 川口市領家の不二工業での作業の記録。御本人の言葉を借りれば「ストイック」というか、黒川幸則&井上文香たった二人だけの映画であっても…

www.youtube.com ゴダールと(マルセル)オフュルス対談本にて、ゴダールが「今年に観た四つの良い映画」の一本『グレゴワール・ムーラン対人類』、結局Youtubeにあった。ひょっとしたら、その直前に『アメリ』の話が出ていたからかもしれないが(監督のアル…

『美しい術』『適切な距離』(監督・脚本:大江崇允)@早稲田松竹

wasedashochiku.co.jp 早稲田松竹にて10/10まで18:35~上映。 久々に大江崇允監督・脚本の『美しい術』(編集も兼ねる)と『適切な距離』を見直す。『美しい術』は10年近く前に見た時以上に、劇中で言うところの「東京の海」ばりのくすんだ視界の画面に見え…

ナンニ・モレッティ『三つの鍵』。アスガー・ファルハディの映画でも見てるのかと、最初のうちは構成に入りにくさも感じたけれど、ローマ法王やベルルスコーニの映画の作家がそう大人しくまとめるわけもなく、それぞれの結びつかない意図した散漫さが、むし…