甫木元空監督『はだかのゆめ』を見る。
『はるねこ』もどこへいくのかよくわからず疲れたが『はだかのゆめ』も苦手だった。最初から最後までずっと息切れしてるというか、終わり続けているような映画というのか、ラストカットがまたあんな感じなので、全てがラストカットにできたような映画。そう書くと本当に全然見たくならない類になってしまうが。アルベール・セラみたいな退屈さの持続みたいな時間の作られていく豊かさとは違う。脈絡がないというか、こっちにはよくわからないから、すごくゆっくり過ぎていくというよりも、いつ終わるのかわからない。いまがどのあたりなのかわからない。おそらくそういう、どのあたりとか、いつ終わるのかとか(さすがに線路が出てきて、そろそろかとはなる)、そういうものでもない。カットがつながってないわけでもない。ただただ時間が止まっているということか? だから『グリーンナイト』の3倍くらいの時間が過ぎていく恐怖(つまり死ぬほどの退屈さ)を感じる。死者と生者の境もドキュメンタリーとフィクションの境も曖昧とかいうと、いかにも映画祭受けしそうな才気走ったものだが。ただこの一時間のなかに観客として一つ持ち帰ればいいかもしれない。「今年の冬をこえられるかわからない」という言葉が、世の現実とリンクし続ける。ただ本来全く似ても似つかないはずの『川のながれに』と『はだかのゆめ』のどちらもが青山真治監督の映画にあるのは間違いなく、そこが改めて貴重だったのかもしれない。

アマプラにてシャブロル『十日間の不思議』。不思議というか変。アンソニー・パーキンスオーソン・ウェルズが血のつながらない親子という時点で普通じゃないが。サスペンス映画という概念の破壊者か? 意外と配分よく十日間が過ぎていくのがまた、何らかの事件がもうあるのかないのかわからなくなる。スクリーンプロセスのような池に反射した逆さまの樹々なんか見たことない。

カイエのベストテンに入るまで、なんとなく忘れていたリンクレイターの新作『アポロ10号1/2:宇宙時代のアドベンチャー』がネットフリックスにあがっていた。周りで話題を聞かなかったので乗り遅れただけかもしれないが……。
なんだかよくわからないようで、もうすっかり「いつも通り」という言葉を使いたくなるクラスの監督だった(いや、それはネトフリだからか?)。もうちょっと驚きながら見るべきだったかもしれないが、やはり良い映画に変わりない。このまま行っちゃうんだ、行っちゃうんだなーとか心の中で言いながら見た。ジャック・ブラックの自分語りだか法螺話だか聞いてるうちに、その虚実がさほど危うくもなく維持されるうちに、じんわり来る。アルトマンをはじめ、むちゃくちゃに言及されまくる映画、テレビ、レコード以外なら『コンタクト』『トラベラー』『BIG-1物語 王貞治』を思い出した。