【告知】2/11、12 當間大輔監督『self and others』上映会

たびたびお世話になっています、聖蹟桜ヶ丘のキノコヤにて上映会を新谷和輝さんと企画しましたので、ご案内いたします。
メインビジュアルは當間大輔監督に作成いただきました(こちらの不手際によりPeatixにはフルで載せられず、監督には大変な失礼をしました……)。

https://0211kinokoya.peatix.com/

(2月11日予約ページ)

https://0212kinokoya.peatix.com/

(12日予約ページ)

以下、上映の詳細をPeatixより転載します。

 

 
當間大輔監督『self and others』上映会
 
会場:キノコヤ
2月11日 18時上映(17時30分開場)
12日 14時上映(13時30分開場)
各回上映後に當間大輔監督と、本上映会企画の中山洋孝、新谷和輝によるトーク(30分ほど)を予定しております。
料金 1000円(ドリンクなど別料金)
予約 Peatixまたはメール kinokoya96@gmail.com までお名前、予約の人数、ご希望の日時をお送りください。
 
 
上映作品紹介
self and others』(2023年/53分)
人に心を閉ざしているナツはショウには心を開いていた。彼が東京へ出てから数年後、彼女は東京の喫茶店で働いていた。ある日、ナツは地べたに横たわるショウを見つける。
監督・脚本・撮影・編集:當間大輔
出演:上野凱 木越明 大迫茂生 笠島智 原妃とみ 山下ケイジ 青山卓矢
助監督:福島俊輔 齋藤成郎 甲斐菜摘 永澤由斗
録音:渋谷太 制作:當間桜子
 
 
 
この作品では、個人と他者という社会構成の最小単位と部屋という最小限の空間に絞ることで、人間の本質を描くことが出来たのではないかと思っています。
また、出演いただいた役者の皆さまが本当に素晴らしく、フィクションのはずなのに、ある現実で生きる人々のリアルな感情や表情と向き合える映画だと思います。
(當間大輔 本作監督)
 
 
 
self and others』という題の映画といえば、佐藤真監督による写真家・牛腸茂雄のドキュメンタリー『SELF AND OTHERS』を当然連想させる(53分と上映時間まで同じだ)。それとも牛腸茂雄の写真集『SELF AND OTHERS』という題の元と言われる『自己と他者』のR・D・レイン(そもそも写真集の末尾にはレインの『経験の政治学』から引用された、アーヴィング・ゴッフマンの言葉が記されている)まで遡るべきか。国立国際美術館の「SELF AND OTHERS 牛腸茂雄写真展」から始まる『寝ても覚めても』(監督:濱口竜介)という題も、『self and others』の男女を見ながら思い浮かぶ言葉かもしれない。
自己と他者。映画は冒頭から物語に多くは関わらない他者の声を聞かせる。彼らは何だったのか? ナツより先に東京へ出たショウの耳には、それ以上の無数の他者の声が入ってくる。それがショウをあのようにさせたのか? 映画そのものは最終的に男女の変化を視認できるレベルへ観客を誘うようにシンプルさへ向かっていく。そのために選択されただろう白黒の画面により明暗の変化が際立ち、特に東京での二人の再会する瞬間、明るい出口の一歩手前から闇の側へ引き戻すようなショットの繋ぎは、外界から隔てられた二人だけの世界の作られる時に観客も立ち会わせる。
ナツとショウが何を思ったか以上に、その瞼がシャンプーやシャワーによって閉じる反応はわかる。役者の自由を奪いかねない動きの失われていく事態でも、たとえば上野凱の(状況に反して)よろこびさえ感じていそうな顔、または無言の頷きといったリアクションの一つ一つが見逃せない。映画を見ながら沈黙を余儀なくされる観客にとって、声のない二人との関係は一切他人事ではなくなるのだ。
(本上映会企画 中山洋孝)
 
 
 
フレーム内に人がよく出入りする活動的な冒頭が過ぎると、ショウとナツは動けなくなっていく。コロナ禍でも人で溢れかえる東京の喧騒が彼らをそうさせたのだろうか。私には感じ取れないざわめきが彼らを蝕んだのだろうか。いろいろと想像はできるが、二人がそうなった原因は示されない。地面に臥して声も出せなくなったショウをナツは世話してやるが、やがて突然、再びナツも同じように動けなくなる。ケアするものとされるもの、健常な身体と病んだ身体。それらの境目がつねに揺らいでいる。この映画がずっと映すのは、立ちすくみ、寝そべるギリギリの身体であり、その身体を何らかの外的な要因に還元することはしない。自分の身体さえも思い通りに動かないのに、他人の身体をどう支えればよいのか。そうした根本的な共同性が問題になっているのだと思う。だから、ショウとナツの間でほぐされる髪、投げかけられる視線、微かに緩む頬、差し出される手、そういった細やかな部分の重なりが印象に残る。私やあなたや世界が次の瞬間にどうなっているかは全くわからないけれど、このように生きていくしかないという静かな決意がここにはある。
(本上映会企画 新谷和輝)