『STALKERS』(古澤健)

古澤健監督『STALKERS』。監督・主演と聞いて、古澤健監督がストーカーらしきことをやる自演映画かと失礼ながら思い込んでいた。
内容はほぼトンネルを行って戻りかけるだけ。ある意味でベケット的か。そもそも随分長いこと古澤監督の映画を見なかったから、以前の丸裸になるスタイルとは別物で驚いた。脚本作『ゾンからのメッセージ』に続きタルコフスキーから引いてきた題で(タイトルの複数形から何となく「オチ」を予想はできてしまったし、それ以降のゾッとする時間をもっと長く見たかった気もする)、トンネルにもそれらしい湿り気がある。またはマイケル・スノウ×呪いのビデオ的なパフォーマンス映画? あの十字は西山洋市監督『INAZUMA 稲妻』を思い出す(ところで見逃したままの西山監督『ネオ✝ハムレット』のタイトルにも十字架がついている)。
登場人物全員不審者。通りすがりのマスクしてる人たちと、カメラを回してフレーミングを定めては自分自身も撮られている男のどっちが怪しいのかという緊張感。またはコロナ禍など終わったと曖昧に切り捨て続ける国政に対して、まだまだリモート映画的なほぼソロ活動に近い映画をやるのは一種の抵抗と受け取れる。