『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』

クリストファー・マッカリートム・クルーズの『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』毎度タイトルの意味がよくわからないまま見るが、今回は最初にサラッと教えてくれた。あとタイトル前に出た謎の侵入者がビッグモーター社長に見えた。早速ロシアが敵かと思いきや、そういうわけでもないという微妙なバランス。
世界でただ一人しか知らないという、トム・クルーズのチームが追うキーの秘密を、観客は映画の最初に知ってたという贅沢な160分の前半戦だがタルくはない。トム様の映画なら『トップガン マーヴェリック』の異様にわかりやすいんだか、よくわからないまま納得させられてるんだか路線は継続して、「それ」って何だよとも言いたくなるが、ようやくトムの組織のことを会話で聞けた。観客が主要人物より先に知ってることと、そうでないことのバランスの妙というか。このコンビでは前作のガチスタント路線より『アウトロー』寄りの会話とユーモアとバカバカしさとロマンスとシリアスと謎と暴力とガチスタントの塩梅が調度いいというか、バカでもわかるというようでギリギリバカにしてないというか、詰め込みすぎにも思わせないので、やはりうまい。なら160分、しかも前後編わけるくらい長くなくてもよくない?ともよぎるが、終盤の一杯食わされた敵役の間抜け顔とか、怒涛の列車脱出や、グランドピアノとか、鍵の正体をトム様に伝える展開とかで全部許す(そんな僕は何様か)。あと「それ」って暴走したコンピューターウイルス兵器で、その話をコロナ禍で撮るって、『偶然と想像』の濱口竜介の発想かと少し思った。なんだかそれくらいここ最近のハイテクスパイ映画のようでアナクロに見えた気がする(あの手錠のカーチェイスも笑った)。それにしても『アウトロー』のロバート・デュバルもよかったが、今作もとっとと退場しそうなトムを追う捜査官(?)コンビがだんだんと良い味出して(ワイスピのレギュラーらしいが真面目に見てないのか全然思い出せない)、そういうのもマッカリーの良さか、トムの采配か? まあ、レベッカ・ファーガソンが死んでも全然悲しくないのが確かに残念というか、結局毎度のことかいというか……。