森﨑東監督『女生きてます 盛り場渡り鳥』を買い逃す。出遅れた。脚本作だけでもと
渡辺祐介監督『いい湯だな 全員集合!!』。同じ組み合わせのドリフ『やればやれるぜ全員集合』は何か居心地悪い映画という印象、その後の『日本ゲリラ時代』は68年の怪作として感動。『いい湯だな』は69年。またしても
加藤泰『
瞼の母』を明らかにネタにした
木暮実千代が登場する。やはり『
燃えよ剣』(先日ようやく見たら初っ端から「くらやみまつり」であり「夜這い」あり「脛うち剣法」あり最後は
切腹であり、
新選組には寅さんの系譜がなくもない)もしくは『皆殺しの霊歌』で何かあったのか?と下種の勘繰りをしたくなるが。で、今回も
モグラの祭りと言わんばかりにファーストカットから誰とも知らない分身たちの主観が銀行の壁に穴をあけ、冤罪のドリフたちは監獄からマンホールを下りて地下生活を余儀なくされ、おっかさんみたいな人を埋めるための穴を掘り、そこへ
加藤茶が転げ落ちる。
先日、広島で『生まれ変わった為五郎』と同じ寝方をした森﨑ファンから聞いたように、脚本作から血が濃すぎる。あの
マッサージチェアを
電気椅子へ変える発想。もちろん
渡辺祐介監督だって興味深いのだが、やはり泣かせはしない。しかも素直に笑えなくなってくる。ただなにかヤバいものを見ているという感じ。しかしこれも森﨑が演出したら涙なしに見れない予感はする。
僕はドリフに何の思い入れもないと改めて確認する(『やればやれるぜ』なんか本当にドリフの華のなさが乞食らしく強調されて嫌いになりかけた)が、それでもこれは五人組を必要としている映画だ。「するってえとお前さん」が『
アウトレイジ』の「てめえこのやろう」くらい繰り返されて単なる物真似から逸脱していく。その延長に
帝銀事件(のちに森﨑はドラマ化)の犯人を名乗る
三木のり平がいるのだろうが(そういえば『みんな〜やってるか!』にも
帝銀事件は出てくる)。
渡辺祐介には『桃色の超特急』という分身モノもあるくらいだから、この関係も無視できない。