レニー・ハーリンの『スキップ・トレース』、かなり良かった。初っ端の相棒が殺されるまでは「あ、これ乗り物酔いみたくなるやつだ……」と嫌な予感までしたけれど、すぐ後のドミノ式に倒れる水上家屋といい(ブラジャーが良い)、ボウラーターミネーター率いるロシアンマフィアたちに追われながらのベルトコンベアーといい、以前ほど動けないジャッキーでも、むしろそれがすごく気持ちよく見ていられるようにアクションが撮られ、繋げられていると思う(この辺を具体的に言う記憶力と語彙と、丁寧に書く努力が足りない)。
マカオと香港の登場人物を行ったり来たりしながら、いまいち整合性がとれていない気もするうちに、主要人物二人が一人の女性によって同じ空間の壁ひとつ挟んだ場所にいる。この見ている人の疑問が膨らみ過ぎないうちに話をもっていく力と早さが最高だと思う。
モンゴル着いたあたりが少々タルいとか、はっきり言って敵も味方も脇も本当にどうでもいいのばかりとか、いろいろ素直に好きになれないところはあるけれど、なんだかんだで最後まで持ってかれてしまった。ジャッキーがキートンとロイドを使っているというのを教科書レベルで何となく知っているくらいだけれど、育ちは悪くとも映画を面白くするための技能が詰まっている気がする。軽い高所恐怖症のせいか、マジで見ながら手から汗がダラダラ出てしまった(『ザ・ウォーク』以来か)。
あとジョニー・ノックスヴィルとかジャッキーの娘の強いんだかそれほど強くないんだかよくわからない加減もよかった。