気になってしまい悪名高い『デビル・ストーリー』を見る。
『ONODA』に続き、ブニュエルを(特にメキシコ時代のを)見返したくなる映画だった。深尾道典を見たとき(また大分以前に見た『わいせつ女獣』の関良平とか)くらいは唖然とした。特にトトロみたいな夢オチ後の展開は絶句。それ以前の映画の予告を見る限りコテコテのコメディを撮っているようだが、リマスターによる明るい夜のせいか、やはり一々リアクションはキョロキョロしたりワーワーしたり(それを遥かに上回るヒヒーンの連続にうんざりさせられるが)コテコテに案外変わりない。ガソリン切れした理由を親切に説明するフラッシュバックの凡庸な使い方とか、暗転とか、風景とか、どうにか取り繕わなければと苦心した跡がわかりやすい。車の窓に吐かれた血糊を即座にワイパーで清掃する(撮影用の車を何としても無傷で返却しなければいけなかったのか)。だがあの怪人のビジュアルが全てなのか(『悪魔のいけにえ』からいただいたといえばそれまで?)。これがもし馬とミイラだけなら、もう映画自体残っていないと思う。馬とミリタリー老人のMVみたいな。馬、ミイラ、怪人、ミニチュアの幽霊船、ミリタリー老人。この五つが出来の悪い、収集をつけることさえ出来ない救いのない映画から歪な禍々しさを引き出す。学生映画にはない妙な貫禄がふてぶてしい。