『ソレイユ・スリヤン』(黒川幸則)

黒川幸則監督撮影・編集『音楽室』『音楽室2』『花見』『ソレイユ・スリヤン』。ダウン症の少年少女たちの、楽器を叩いたり投げたりノイズ音楽映画から始まって『音楽室2』『花見』の少年少女のスキンシップ、そして『ソレイユ・スリヤン』のお絵描き。『ソレイユ・スリヤン』が展示された絵の製作過程というか、ただただお絵描き遊びに熱をあげて、もう何の道筋も示されていなくて清々しかった。『音楽室2』の触れ合いは見ていてドキドキする。際どい言い方だけど、もし大人の男女の恋愛として見たら相当に色っぽい気がするけれど、覗き見趣味としてではなく、これぞ映画の官能表現だと思う。彼らの音や絵のように、触れることが多くの意味を語らず表現になっている。この少年少女に限らず『花見』でも彼らの人の触り方がどれも画になっていた。マットを広げ、少年は靴を手に(少女の履いた靴を脱がそうと触るのがまた良い)、少女は『妖怪ウォッチ』の画を手にして、座って遊ぶ。いくつもの四角がいい。それでも誰も横になっていないけれど、なぜかカメラが横になって、まるで寝ながら見守るような時間が充実していた。そして観客の視点は羽ばたいていって、桜の花びらになれたように締めくくる。