『夜が終わる場所』(宮崎大祐)

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たしか2012年に見た時は苦手だったが、昨日見直したらとても面白かった。個人的な印象の域を出ない感想だが、5年以上経った今となっては新作としてではなくVシネやピンク映画(若松プロとか)の忘れられていた一本が再上映されたのを見たような、受け入れるために必要な時間があったのかもしれない(単に自分自身の変化とか体調の問題も考えられるが)。迷彩服の風俗嬢がモデルガンを抱えた姿に、5年前は上映されていなかった『白昼の女狩り』を連想させて禍々しいけれど、それこそ『朝日のようにさわやかに(愛欲の罠)』と対になるようなタイトルが、初見では大和屋竺鈴木清順への意識を恥ずかしく一方的に嫌ってしまったが、25年の時間を三件の殺しの現場によって振り返る冒頭から、十分にワンカットごと気合が入っていて清々しい。干されたシーツにかかる血も、割れる花瓶も、地べたで蛇のように動くリボンも、ミイラも、殺しの数々を忘れさせない。上映前のトークで聞いた通り、たしかにロケーションも魅力的で、特にプラネタリウム(?)なのか、距離感を狂わせる銀河系のカーペット上での男女の再会と切り返しからの暗転、そして地下水道、夜の森林と続く終盤は素晴らしかった。もう殺し屋映画なんか真剣に撮っても冗談扱いされると言わんばかりに斜に構えたところもあるけれど、「俺は、そこにいた」と「その夜を忘れないで」の二言をきっかけに悪夢から解放されて着地点を探し、そして杖を捨てて歩き出す後ろ姿は『大和(カリフォルニア)』と重なった。