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ラリー・ユスト『ホームボディーズ 老人殺人倶楽部』を見る。これは確かに面白い。というかリズムが(タイミングといえばいいのか)何から何まで好調という印象。それは具体的に誰という名前を思い出せないが、作家、演出家の最もうまくいってる時を見ている、という点での漠然とした既視感があった。勿論悪い意味ではない。とにかく面白い。ありえたかもしれない北野武という感じもする。
まず老婆が工事現場での落下事故を眺める(アンソニー・マンなどと結びつけていいかはわからない)。ただその老婆が少しの手も触れず、ただ見上げて、見下ろしただけで、おそらく殺意を完遂した。一種の超能力の発現(じゃないんだろうけど)がきっかけになる(それをドワイヨンと結びつけようとは思わない)。逆さ吊りにされたターゲットの主観が逆さまの殺人者たちであり、ターゲット自体は単に逆さになって、しばし逆さの画が続く。
編集のピーター・ペラシェルスはimdb検索したらウェルズの『フォルスタッフ』『(未完の)ドン・キホーテ』、アーヴィング・ラーナー『ピサロ』(『ワイルドバンチ』と同年にスローの殺戮を実行)の人。さらにシオドマク『カスター将軍』(最近久々に話した知人からシオドマクの西ドイツ帰還後の西部劇が面白いと聞いた……、これは当然アメリカ時代だが)とかチャック・ノリスの映画(スティーブ・カーヴァーではない)など気になる経歴。
『The House of Seven Corpses』というホラーの編集もしていると知って見た(Blu-rayを以前購入したのを思い出した)。正直あまり面白くないか、オープニングの死に様コレクション(しかも映画の内容を予告しているわけでもない)とか終盤の走馬灯とか、撮影現場と劇中映画の中身をクロスさせる編集とか、なかなか退屈な映画に見所を与えていたと思う。