5/24・25『花柳幻舟獄中記2』(監督:森﨑東 脚本:掛札昌裕)『わが町Ⅱ』(監督:森﨑東 脚本:鎌田敏夫)

ありがたいことに友人にお願いして『花柳幻舟獄中記Ⅱ』録画していただく。脚本・掛札昌裕は変わらず、今回は森﨑東! なので前作より東映色(というか野田幸男らしいハッピーな下世話さ)は薄れて、やはり新宿芸能社シリーズに近い元受刑者たちの疑似家族的な集まりが話の中心になる(副題も「女生きてます」が相応しいんじゃないか)。結末もより苦い。友情出演の人物とのヒソヒソ話、エラくイキイキしたオークションが花柳幻舟本人を引き出しながら、倍賞美津子松坂慶子ら森﨑映画の女優たちに連なる笑顔と涙を見せる。河原崎長一郎は男気を貫き通せず『喜劇 女は度胸』の河原崎健三にありえたかもしれない裏切りをしてしまう。びっこを引く彼の後ろ姿が許しがたい存在になってしまっても悲しい。

さらに友人にお願いして森﨑東演出『わが町Ⅱ』も録画してもらった。こちらは美保純の過去を今回は蟹江敬三が刑事の立場を逸脱して追う(そして事件解決後は別れの時間もなく消えてしまう)。『特出しヒモ天国』の涙なしに見れない場面も繰り返されそうになるが、今回は泣き声ではなく、声のない側へ引き寄せる。たいした役ではないけど益富信孝のアップも出てくる。で、結局真犯人たちがどうやって自殺に見せかけて殺害したのか、そもそも本当に他殺だったのかの答えを出さない(自殺の場面を撮ってしまっている)。おそらく蟹江と渡辺謙の二人とも美保純が人殺しであるイメージに取り憑かれている。ただ蟹江は3の倍数という数字に賭けて、またしても刑事の立場からは明らかに危うい暴走で一か八かの手紙を捏造して(彼は自覚して嘘をついて)投函する。