6時頃帰宅。

イメージフォーラムにて『夜風の匂い』(フィリップ・ガレル)。

早稲田小劇場にて『CHITENの近現代語』。映像もしくは再生される音源ならば容易におこなえるコラージュ、モンタージュ、一時停止、反復などを舞台(密室)での上演に置き換える行為の意義こそ地点の面白さだと思う。さらにいえば上演を見聞きすることも含まれるので、単純に台詞ごとにカットを割るような舞台中継で見たら面白さも意義も途端に失われてしまう。発声する側、それを見聞きする側、どちらにとっても返ってくる何かがある上演。特に言葉が発声によって音楽と意味とに引き裂かれるような状況が、いくつもの映像をオーバーラップさせたようでもあって、映画にも返ってくるものがありうると思う(何度も言及するのは気持ち悪いが、ゴダールやリヴェットのリハーサルと結びつけた『人間のために』は試みの一つだ)。

DVUで書いた文章を読み返して、困ったことに「あの頃のほうがよかったな」と思ってしまった、ついに。

夜勤明け。

少し寝てから地点『ロミオとジュリエット』。相変わらず誰が誰を演じているのか(そもそも演じようとしているのかも)わかったような、わからないような勢いで始まって、知ったかぶりしてベケットチェーホフの混ざったと言っていいのか、幽閉空間で延々動いたり止まったりする狂人もしくはゾンビを見るような(その点、ゴダールだけじゃなくてベロッキオやソクーロフを見ていてよかった、という気にもさせる)。ジュリエットらしき女優の奇声が耳を離れず。斜面を舞台に横になっては転げ落ちたり意味不明の反復運動を始めたり、『ミステリヤ・ブッフ』あたりからか、前回の『かもめ』でいよいよ「笑っていいんだ」と肩の力を抜けて見れたが、もはや「俺ら東京さ行ぐだ」レベルで台詞が益々取っつきやすく耳を離れず、それでいてロミオもジュリエットも倒れてからの、どっちが死んだかどっちも死んだか生きているかもわからない、亡骸を弄んでもいるような、名付けられた像を引きづりまわっているような、かと思うとモニュメントのように壁に巨大な影が映る仕掛けまで、やたらめったら面白く、それでいてどんどんと不気味で陰鬱な予感がして、しかし見終わると爽やかという、また最初から言葉の一つ一つをちゃんと受け取りたくて見直したくなる。『おもしろければOKか?』(三浦基)読んだ人全員が気になりそうな一番有名なシーンに行き着くまでの解体に立ち会えただけでも良かった。

合流した知人友人と飲んでいるうちに終電を逃し、久々に朝までカラオケ。楽しかった。

医薬品の勉強会。

夜、チャウ・シンチーの『人魚姫』。昨日の『子犬物語』に続いて『バットマン』のオマージュを見てしまった。それだけでなく、この異形との恋物語ティム・バートンへの目配せを感じたけれど、単純すぎるか。一度も回想を挟まず語る勢いの良さに乗せられつつ、人魚が難破船の隠れ家に降りてから(移動手段が『マーズ・アタック』の美女に変装した火星人を思い出した)、婆様が波面に人間と人魚の歴史を映すあたりで最初に泣いてしまう(もしかして彼女の若い頃を描いたのか、掛けられている画も良かった)。灯台の光に照らされるヒロインが美しい。予想以上に水に濡れた美女といい、胸元に目が行って仕方ない悪女といい、サービスもかなり豊富。さらに環境問題だけでなく現実の暴力を反映しているだろう人魚狩りの陰惨さ。大したことはしていないのに、あまりにかっこいいクライマックス。そして道徳的な着地点。何事も限度が大事だ。
帰宅後、『ハウス・バイ・ザ・リヴァー』(フリッツ・ラング)。

せっかくの休みなのに家で昼頃までゴロゴロしてしまう。

ジェス・フランコ『ドラキュラの娘』Blu-ray。ウトウトしてしまう。早く出かければ良かった。

喫茶店で医薬品の勉強。

夜、『トッド・ソロンズの子犬物語』。結局これしか映画館で見れず。そして休みの日にこれ一本というのは寂しい映画だった。『人魚姫』か二回目の『皆さま、ごきげんよう』にすればよかった。後半の「子犬いらないんじゃない?」と思わせといてからが真骨頂な映画。『ダークホース』のウォーケン、ミア・ファローもそうだけれど、今回はダニー・デヴィート、エレン・バーステインが記憶に残った。

再び喫茶店で医薬品の勉強。ややボンヤリする。

帰宅後、以前上田さんを通して茶会記で知り合ったダンサーの映像をいくつかYoutubeで見る。そして上田さんの舞台で上映した映像の苦い記憶が蘇る。全然面白いことができなかった。ダンサーを撮った映画で個人的に好きなのをラウル・ルイスかアンドレ・S・ラバルトのしか思い出せない(七里圭監督のも実は苦手)。単に自分があまり見てないからだろうけれど。そういえばダンサーの人と映画の話をしたら、清水宏山中貞雄が好きで、特にあんな子どもたちのように動いてみたいと言っていた人がいた。親の影響で小さい頃に見た『セリーヌとジュリーは舟でゆく』が好きという人もいた。

その後、『モレク神』(アレクサンドル・ソクーロフ)。

 

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