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24日の夜から尋常じゃない冷えが襲ってきて油断していたからしんどかったが、25日も予定があり外出したが、外で10分立つだけで寒さが辛く、信号待ちさえきつい。頭が働かなくなる。

ドン・シーゲルをやはりスクリーンで見ようと決めたが、時間間に合わず予定変更し『ノースマン』へ。ロバート・エガース、前作そんな良いと思ってないのに、今回は良かったとまで言う気にはなれず。でも、まあまあか(こういうの誰も見る気にさせない感想とはわかっている)。アレクサンダー・スカルスガルドって『ズーランダー』の役しか覚えていないのだが(『メランコリア』に父親と一緒に出ていたけれど、どんな役か全然思い出せない)、ずんぐりした後ろ姿とか今回はレスラーか『ハロウィン』のマイケルでも主演に連れてきたのか?という体型でびっくりした。あと二コール・キッドマンはさすがにこのままだと勿体ないだろと思っていたら、まあ、ようやく終盤に怪演(そういや『ドッグヴィル』だったな)。あとイーサン・ホークウィレム・デフォーの序盤のワンワンが、また前作と同じことやってると思ったが、もうデフォーの存在には笑うしかない。祭壇のミイラ。あと『炎628』へのオマージュあり。

それからドン・シーゲルにしようと決めていたのだが、冷静に乗換案内見てみたら17時の『殺人捜査線』を見終わってから京橋へ移動しても19時の既に購入している回に間に合わない、と知ってショック。

予定変更し、話題作の『SHE SAID』(マリア・シュラーダー)。タイトル通りの映画。レイプそのものを映さない演出としても、タイトル通りの映画。または電話を多用する映画。電話越しに顔は出さないが加害者・被害者双方の「名のある」人物たち、または映画に姿を見せ、実際の記事にも名前を出すことを決意する「herself」がかなり重要なキーとして出てくる。写真と声というローズ・マッゴーワンや、ニュース画面に顔が出てくるビル・オライリーもいるが、トランプもワインスタインも声は出るが、あえて顔は映さない。監督名はスコセッシだけ出てきた。にしても『デス・プルーフ』に喝采していた07年から15年以上過ぎて、こうした映画を見るとは思わなかった。
スピルバーグペンタゴン・ペーパーズ』(または『リンカーン』か)と同じ話の運び方というか、ドラマは予想通りかなり薄い。いや、現実に多くの女性の声が押しつぶされてきたことを扱った映画に対し、ここではまさに「SHE SAID」というか、その姿や過程が映っていればそれでいいかもしれない。アシュレイ・ジャッドの決意までの逡巡はあったのはわかるし、そこでゾーイ・カザン演じる記者と電話で「ジョギングをしていた」というくだりに心動かされる人もいるはずだが、でもそれは単にネタというか、共感を呼ぶための手が見えすぎでしかないんじゃないか(乱暴に言えばルポを読めばいいような)。終盤に被害者たちの、おそらく書かれなかった、声でもなかった、彼女たちの姿が映って、たしかに感動的ではあるが、その手付きが安易すぎて正解でしかないというか。ローラ・マッデンこそ主役であったのかもしれないが(ミラマックスでの同僚から電話をもらったことから一転して記者への取材に協力するくだりはよかった)、またはアシュレイ・ジャッドなど、一人一人女性すべて主役であったかもしれないが、あえてズラすのも『リンカーン』でのトミー・リー・ジョーンズを思い出す。

19時国立映画アーカイブまで日本橋から歩いて当たり前だが後悔するくらい寒い。ダドリー・マーフィー『ブラック・アンド・タン』は『バレエ・メカニック』の共同監督の映画と書かれていたので、最初はだいぶ拍子抜けする。かと思っていると場面がコットンクラブに移って、デューク・エリントンの恋人ダンサー(フレディ・ワシントン、凄い衣装)が心臓を悪くしているという設定を理解する。そういうことね……。サム・ニューフィールド『草原のハーレム』はほぼ寝てしまう。

帰宅後、ドン・シーゲルではなくベティカー『七人の無頼漢』を見直す。