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国立映画アーカイブにて『ザ・パーソナルズ 黄昏のロマンス』(伊比恵子)『予備選挙』(ロバート・ドリュー)。ポレポレ東中野へ移動して『理大囲城』(香港ドキュメンタリー映画工作者)。同じお客さんを見かける。
『ザ・パーソナルズ』「息子が亡くなってから心がふさがったままで」といった話が字幕で出たが、前の人の頭が重なってよく見えなかったのでちょっとずれたら「23年前に息子が~」となっていた。そんなことで話の印象はずいぶん変わるものだ。心臓病の手術の傷跡を堂々と見せたり、精力剤を飲んでいたりする、唯一演技経験のあるお爺さん、元気で羨ましいですね。良い映画だが、そんな普通の感想以外、今は思い出せず。『予備選挙』もようやく日本語字幕つきで見れた。
そして『理大囲城』もようやく。とにかくあっという間というか、評判通りただただ「映画」であり脱出を試みる話なのだが(警察側からデモ隊のいる校舎をロックアウトしてきたという点が、やはり重要か)、これはこれで感想を簡単に書く気になれず。『ピアニストを待ちながら』同様に校舎から出られなくなる映画だとも思ったが、それはそれでまた乱暴か。しかし本来救援に来たはずの「校長」たちの登場が、単に内部の動揺だけが不信感を呼んだともえいないシュールさもあって、学生たちと異なりモザイクもない素顔を観客に見せているからこそ、こちらにもどう対応すべきかわからない不安が伝染してくる。「私は帰らない」と家族に電話した女学生の壁に向かって泣く後ろ姿はじめ、表情のぼかされたはずの学生たちの迷いの動きが、舞台として機能する階段とともに視覚化される。武装した警官によって地べたに押さえ付けられた学生たち(マスクを外された彼ら彼女らだけはモザイクもなく名前とIDを繰り返す)の裸足の裏も痛ましい。抗議者たちの苦しみを現わすかのようなシルバーシートの「ダンス」が忘れがたい。