マーティン・キャンベルマーベラス』。マギーQの女殺し屋映画。かつての救い主、師、今は相棒のサミュエル・L・ジャクソンの70歳祝い(嘘だろと思ったら本当にオーバー70だった)にギターをプレゼント。見ていて心温まる時間。ロバート・パトリックとの時間もいい。敵役か相手役かマイケル・キートン。途中まで無意味に気取りやがってとしか思わなかったが、意外と格闘が強い(バットマンだから当然だが)。ライバルのレイ・フィアロンという全然知らなかった奴も見た目通りに暗躍するが、彼がもうダメそうなところでついにマイケル・キートンも暴れ出す。マギーQと愛のダンスのように闘う(いかにもだがもっと見たかった)。ところで千浦さんが書いていたようにマギーQの七変化なのか、アジア系の顔を見分けられるか!という挑発なのか、いずれにしても冒頭のミッション、ジョギングから一転してサミュエル誕生会のメイクは人種が変わったかのような顔の変化で驚き、たしかに欧米圏でのアジア系がどのように映されるかという意味で非常に興味深い。中盤の胸元をナイフで裂かれたかのようは衣装の着こなしも凄い。サミュエルの「男ができたのか」っていうところも何となく良かった。まあまあ。

狩山俊輔『メタモルフォーゼの縁側』も見る。芦田愛菜宮本信子がいいからOKな映画なのかなと見に行ったが、なぜだか自分でも嫌になるくらい宮本信子の芝居を見るのが恥ずかしく、ついでに話も微妙に恥ずかしいことを思い出して、ほぼ集中できなかった。宮本信子を悪く言っては根本を否定することに繋がるかもしれないが…。芦田愛菜の描くヘタウマというか同人誌のイメージより遥かに素朴な(年相応な)画が確かに「正気か?」と思ったけれど、ペン入れしてトーン貼って、コマ割り全体を見たら不思議と愛着のわくものになって驚く。原作者本人が描かれたものなので、つまりプロの仕事というわけですが。

『百年と希望』を見た。ちなみにキネ旬の星取表については半分くらい同意するが、半分はたしかに違うんじゃないかと思った。議員に魅力はたしかにある人にはあるし、ない人にはないなりのフォローがある。ヒステリックというよりは、結局、ある種の見る側が抱く虚しさからくるのかもしれないが。自分の感想で言うなら、池内さおり氏と仁藤夢乃氏の出てくるあたりから、ようやくという感じで、それまでははっきりつまらなかった。比例代表の話と、あの地方の寒々しさから見るべきところはある。あと羽生田によるゴールドマン・サックスという言葉の虚しさには笑う。自民は映るが維新の議員自体が撮られないのは奴らが拒否したからな気がする。まあ、でも映る人への掘り下げとか、撮ることへの欲望が明らかにないから面白くないわけだが。薄いドキュメンタリーと言われても仕方ない。ただ出てくる人の言葉には異議なしなんだが。しかし『牛久』といいネットでも見れそうな映像をわりと躊躇なく使うから、映画館で見る意味って何でしょうかねえとはなるに決まってる。