コズミック出版にてオットー・プレミンジャー『兵士の家』。リヴェット見たならプレミンジャーも見ないとね的な。プレミンジャーにしては「これ以上は見たくない!」ではなく、いつまでも見ていたい系の映画。いや、僕がボンヤリ、いつもの嫌な感じをスルーしたのかもしれないし、単に国策的なやつかもしれないが。でも、これは愛おしい映画。

シネマヴェーラにて大和屋竺若松孝二金瓶梅』をシネマヴェーラにて。なんとなく後回しにしていたのを後悔、この組み合わせというか、やはり大和屋竺にハズレなしだった。褪色しようが面白いものは面白い。助監督・沖島勲。ふかしいも。

若松孝二カーマスートラより 性教育書 愛のテクニック』一切期待しないで、これはナメていたが、思ったより面白い。チラシに『PFLP』の製作資金になるくらい儲かったらしいが(しかし儲かるピンク映画というのは、寂しい男達が喜び勇んで劇場に殺到したんだろうか?)こちらはこちらで『楽しい知識』あたりのゴダール風もしくはブレヒト的(教育劇)に見えなくもないが、でもエロ映画はこんなものか判別としない。あの地味な足立正生初期監督作より洒落てて上手い(スタッフがなんだかんだ良いのか)。なんといっても終盤の実録展開、死屍累々の光景への「あらあら大変」という異化効果なのか軽薄なだけなのか掴み難いナレーションとか、あまりに乱暴な女性の扱いについて、彼女の顔のアップに分析しているようで、ただ軽薄に「あらあら大変」なナレーションをかぶせたりとか、いろいろ話は学べない。

 

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『ガラオールの最後の冒険』船のマストから海に赤ん坊が落ちるとか、嘘とわかっていてもヒヤヒヤするところと、本当に危ないことをやっている点と(そもそも本当はどれぐらいの高さか、下にクッションがあるのか関係なく、マストへの赤ん坊の置き方が怖い)、あとは海に男女が落ちてから不必要に長い時間、漂っているのがヤバい。肝心な場面が失われているのかサーカスの転落事故後がどうなったのか謎だが。もちろん単に危ないだけでなく、肝心の曲芸の投げたボールの着地点はそんな感じかとか、屋根の上での捕り物の下では寝室の夫婦が巻き込まれていたりとか、写真が動き出したり、レスリング試合での合成にしても、非常に豊かな作り物を見ている楽しさ美しさがあって、今ではありえない優雅さがある。もっとサイレント期のイタリア映画は見たいし勉強しなくてはとは思うのだが。

クローネンバーグ新作、まさに「映画のはらわた」を見せてやるということなのか、『白い肌の異常な夜』のことがよぎって、一時期『ヒストリー・オブ・バイオレンス』の辺りで聞いたクローネンバーグのイーストウッドへの歪んだ愛が、枯れつつあるヴィゴ・モーテンセンの肉体に向けられるんだろうかとか、あと『フレンチ・ディスパッチ』に続きレア・セドゥの身体はもうルッキズムエクスプロイテーションも何も開き直らんばかりに、なんか欲望をすべて跳ね返すばかりの肉体を目指してるのか、まあ、わからないが凄いんだろうという予感。見てないので下衆の勘繰りに過ぎないが。