シネマヴェーラのオルガスムセレクションにて加藤彰『のけぞる女』。『エターナルズ』や『デューン』や『最後の決闘裁判』の半分の時間しかなく、映画そのものも半分程度の時間に相応しいが、『マリグナント』より凄い映画(適当な感想を書いて後悔している)。なんだか映画の良し悪しがもうわからないので、『マリグナント』も『リスペクト』も良い映画だかよくわからないが、『のけぞる女』は凄い。本当に何一つ無駄のない映画というのがあったとして、そんなもの広報みたいな有害なものでしかないだろうが、これは何だろうか。ただ逃げるだけではない。別にのけぞるわけでもない。空虚さとも違う。呆気なく捕まるから『逃げ去る女』でもない(しかし印象的な映画内映画のシーンは出てくる)。退屈しないわけでもなく面白いと即答するわけでもなく、ただ答えに窮することなく、答えがそもそもない。通りすがりを出歯亀するだけの映画でもない。掘り下げないわけでもないが、掘り下げられた感じもしない。活劇?うーん。
こうしてセレクションしてもらって、怠け者だから大いに助かる。
加藤彰について『野球狂の詩』『恋狂い』を見て嫌いじゃないとか『濡れた札束』覚えてないとか、相変わらず中途半端な映画への不勉強さからよくない観客のままだが、浮遊感だけはビシビシ感じる。