相次ぐ絶賛を目にしてジェームズ・ワン『マリグナント 狂暴な悪夢』をみた。狂暴な悪夢としか言いようがない。ロメロ、アルジェント、デ・パルマ(何気に40年生まれトリオ)の詰め合わせというか、クローネンバーグもカーペンターも合わせて音楽もどっか聞いたことあるけど何か違う曲へ変わるフェイクというかドライブがクセになる。もしくは『孤島の鬼』や『神の左手、悪魔の右手』か? ほぼホラーでもサスペンスでもない。別物の何か。狂暴映画。男の暴力が引き金であるというのは避けられない認識であり、そのラインのおかげなのか出鱈目さや行き当たりばったりな印象はない。妙な安心感。しかも迷いがない。どの写真を見ても常に惹かれるところのない顔をした監督(サム・ライミのほうがいい)だけに、迷いなきニセモノ、かつ映画そのものの貫禄に圧倒された。バトンは手渡されたというやつか? 凄い映画。