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『老後の資金がありません!』見る気になれない映画の一本だったけど、読んだら気になって早速見た。最後はCMっぽいとか、字幕が多いとか(さすがにデカいテレビでお年寄りたちとテレビを見ながら笑ってるような体験)、うやむやもやもやすることはいろいろあるけど、面白かった。松重豊のリアクションが一々面白くて、特に妹の若村麻由美を怒らせて(大半は何だか単に感じ悪いのだが急に面白くなる)、奥さんの天海祐希も泣き出して、そこでの態度が何とも情けないのだが目が離せない。草笛光子が良すぎて何の映画だかよくわからなくなりかけるが、毒蝮三太夫との一人二役の絡みは一番笑ったから、二人の共演はもっとスローじゃなく見たかった。ついでに哀川翔もモニターでの胡散臭い病み上がりの感じと、ちゃんと映画の照明を当てられての松重豊と並んでの激シブなカッコよさもよかった。自分の老後と同じくらい東映の資金も心配だが、生前葬を見ながら、映画は技術や、老いて味のある役者や、元松竹歌劇団や元宝塚の記録にもなるから作られて良かったんじゃないかとは思う。

 

ノマドランド』も長かったが『エターナルズ』は冗談抜きで永遠に終わらないんじゃないかと嫌になるほど長かった。『ノマドランド』とほぼ同じ感覚でマーベル映画が撮れるのかと感心したが。それにしても旅したりフラッシュバックしたりシンミリしたり、とにかく行ったり来たり断片的に続く上に目指す地点も恐ろしく遠そうで体感時間が長くて、ユルいジョークを交わして一応笑える割に一大事だが、そんな配慮はしても映画なんて長々見るもんじゃない、しんどい。最近『フライングハイ』を見直したせいか、神々(実はノマドロボット)の数世紀レベルでの果てしない回想とか、恋人同士の振り返りが先住民との交流とかバカなんじゃないかと失笑しかける。

 

万田邦敏『愛のまなざしを』または覚えきれない序文を経て『〜愛のまなざしを』。または『略称・愛のまなざしを』『愛のまなざしを(仮)』? パンフレット掲載の評、対談、少なくとも三宅唱濱口竜介、須藤健太郎の言葉にあるように、二回見る、見返すことで変貌するらしい映画。だからまだ見た気がしないし、見直すかわからないから、もうずっと見た気がしないままかもしれない。この解かれたかわからないループこそ幽霊映画に相応しいフォーマットなのか。しかし全部嘘だったとわかって、なんであんなに癒やされてしまうのか。なぜ息子の出番が消えてしまうのか(というか、あの嘘から息子は映画に出てきてないんじゃないかと思い返すとゾッとする)。