穐山茉由『シノノメ色の週末』おじさんしかいない昼のシネマ・ロサで見るのはキツいなあとなるが。乃木坂の元リーダー主演だから? 序盤はスーツ姿のモデルの撮影から始まる。会社員経験のない女性が化粧をきめてスーツで撮られていること自体の不自然さが(そしてフリー素材として出会い系サイトの広告に用いられてしまう事を予告してるからか)妙にドキドキさせられる。ただ何かいやらしいわけではない。彼女のカメラ目線らしきカット、もしくは写真撮影に用いるカメラの主観と重なったカットなのか、実はそのどちらでもないのかもしれないが、その視線のなかに巻き込まれるから?(編集は前作に続き『お城が見える』、近作は『アイドル残酷物語』の小出豊) または監督と役者のどちらも女性だからか?(月並みな連想かもしれないが) それとも役柄としての彼女ではなく、桜井玲香という人間そのものを捉えてるからか、もしくはただの思い込みか(単に自分がファンになったのか?)答えはないが。本当にそれだけで最後まで目が離せない映画だったかもしれないが、それだけの映画といえるほどの強さはない。何より鏡の話や、スクリーン越しの偽りの世界や、もしくはニーチェの朗読とか、そのあたりはどれも彼女の喋り自体がそんなに良く思えない(じゃあどうすればいいか?)。とにかく並んで見ると背は低いが、寄って見れば非常に大人らしく化粧してるからだけでもなくスラッとして見える姿が日本のアイドルそのもので、この内輪な距離に入り込んでしまう居心地悪さがあるのか? しかし映画は長身のモデルのものでもない。
何も放送しない内輪な四人の週末放送クラブにあるかもしれない可能性が膨らみそうで、しかしそこにかける時間は未消化なまま、何故かプレゼンの対象みたくなる……この映画が半端に短すぎるのは、日本の現実がそんな無駄な時間は許さないからか、映画がそれほど膨らむわけがないと賢く自粛せざるを得ないからか? 面白くなりそう、と安易にクソバイズしてはいけないと踏みとどまれるあたりがますます妙な映画。