7/29

フィル・カールソン『要塞』(70)を録画。『サイレンサー 破壊部隊』(68)と『ベン』(72)の間。まるで少年版『特攻大作戦』になってしまいそうなところ(一本道をまるで記念のようにロック・ハドソンの運転で少年たちが機銃掃射と爆破の凄まじい暴力の快感)をグッと堪えるような映画。というかリー・マーヴィンジェームス・コバーンのことが思い浮かびそうな役をあえてロック・ハドソンという時点で面白い(アンソニー・マンの映画に出るジェームズ・スチュアートみたいといっていいのか)。

何作かフィル・カールソンの映画を見ての共通点。地方(山林、西部の開拓地など)のコミュニティへ都市部から来た男(今回はアメリカ人)が、「獣」(それは実際に動物であったり、凶暴性を剝き出しにした人間であったりする)と対峙する。しばしば潜伏活動に徹する主人公は、捜査、追跡、作戦の過程で(観客の信頼を裏切るような)自身の野蛮さ・卑劣さも晒すことになる。一方で舞台に水辺、斜面、風の吹く場所がしばしば選ばれ、そこでの儀式は僅かながらでも朗らかな時間を与えてくれる。歩く人々や車の移動の捉え方は、いろんな意味でライカートと真逆になる。

ナチスへの復讐心からリーダー格の少年が女医を辱めようと仲間たちに押さえつけさせるのに対し、ロック・ハドソンもまた女医との肉体関係において少年の行動を反復する。少年たちは口笛を連絡手段に用いるが、これを信号だけでなく少年との衝突を緩和させるためにもロック・ハドソンは使う(彼が一触即発の段階で少年の頭に手を乗せることで回避する演出が素晴らしい)。www.wowowplus.jp