5/12

5/12。
夜まで仕事。
豊田四郎『風ふたゝび』。
撮影が三浦光雄の頃と思ったが会田吉男(原節子の兄)だった。初っ端から俯瞰ショット。しばらくして階段で病から人が倒れる。そこから時間を吹っ飛ばして終盤、原節子が走り出す。おそらく『小島の春』の頃から『恍惚の人』まで病人と走る人はほぼセットで出てくる。横たわる人(それを俯瞰で見下ろす視線)と、何かを決めて走り出す人(それを追って前進する撮影)。そこに共通するのは、自らの今いる場所(フレーム、特に家庭内)に収まってしまうことへの居心地悪さなんだろうか。鳥かごも出てくる(豊田四郎の映画にはなぜか動物が多い気がする)。やや広角の狭苦しい画面は俯瞰ショットと、人物を追う時は違和感ない。スタンダードのフィックスは相応しくないレンズなのかもしれないが、それでも家庭内の狭苦しい画を選ぶのは、これはこれで豊田四郎の主張なんじゃないか。