ツインピークス』はビヨンドでなくリターンなのだ。誰が言ったか知らないが『ロストハイウェイ』の「リンチ・イズ・バック」という煽り文句が脳裏をよぎる。下手したら、また彼はいつの間にか私を置いていってしまうかもしれない。定住できずに作品を残して消えてしまう。どこへ行ったか知らないが、待つほかない人たちがいる。そして今、再び彼方へ旅立ってしまう不安を夜毎かきたてながら、ただ今はどんなことをされてもいいから傍にいてほしいなんて思わせる。それが彼の思う作家か、カウボーイか、運命の人なのか。しかし老いて、いよいよかけがえのない存在になってきた。ラス・タンブリンがドアをあけてくれて、初めて「彼は帰ってきたのだ」とこみあげてきた。これまでの彼のキャリアの隙間に一筋の光を射すような、これまでになく曖昧な作品。