堀禎一監督特集@ポレポレ東中野、処女長編『宙ぶらりん』の上映がもう終了しているのは残念だけれど、それでも今日、明日の「天竜区」シリーズから一週間だけでも充分すぎるほど凄まじい。
ほぼ二人だけでつくられた「天竜区」。ただただパワフル。後半ひたすらお茶をガッチャンゴッチョン作っているだけとも言えるのに無茶苦茶面白い『製茶工場』、音声と画面の振り落されかねないくらい激しい関係が病みつきになる『冬』のどちらも、単純によくもこんなホームビデオになりかねない作り方だからこそできることだとも思いつつ、同時にカットの量だけで言ってもビビるほどの画を撮っては繋げていく体力に震える。
そして音声との関係。それがもともと画とともにあった声なのか、むしろ違う時間であっても喚起されてきた声なのか、わかるものもわからないものも、このどの繋ぎが、関係が正しいのか、気持ちいいのか、人の映画を見ても謎めいていて、しかしそのたびにあの映画の繋ぎが、音が良かった、というよりも忘れられなくて、それが映画の「正しさ」なんじゃないかと縛られていってしまうこともある。またはその迷いをそのまま何の工夫もなく出してしまう誠実さのふりをした怠惰に陥ることもある。しかし堀禎一監督の映画にはそんなことは全くない。それはおそらく物語があるからなんだろうと、ひとまず思うことにする。一回や二回見ただけじゃわかるわけがないのだ。しかしこの過激さと同じ地平に『夏の娘たち』が存在する。ただただ必見としか書けない。

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