ここ最近見た映画について、その①

 

アテネフランセで上映中のジャン=マリー・ストローブ単独監督作は『ミッシェル・ド・モンテーニュのある話』『影たちの対話』『ヴェネツィアについて(歴史の授業)』を見た。(『ジョアシャン・ガッティ』を除いて『母』までは一回は見ている。)たぶん『共産主義者たち』には行けない。ただある程度集中して見られたのは『ヴェネツィアについて』ぐらいか……。帰りに知人がツッコミ入れていた、どれかの作品にあったらしきアップのカットも目を閉じていたのか覚えていなかった。

ヴェネツィアについて』は三本中最も撮影・編集にクレジットされているクリストフ・クラヴェールの色を強く感じた。カメラは移動しなくても、そのフレームの中で光が動き、そこに繊細さという言葉よりも、やや乱暴さを感じられるところが面白かった。波の動きのせいでつながるわけのない画というのも(黒画面さえ挟まない)、これはこれで面白いと思う。光の異なる画を見つけては楽しんで、遊んで、並べているようなのだ。水辺が舞台と言うのもクラヴェールの映画に通じている気がする。最後の『アンナ・マグダレーナ・バッハの日記』引用の直後、『日記』に関するクレジットが最初に出るので、どっちの作品を見終わったんだかとツッコミたくなる。同じく『日記』引用あるものの、最初のタイトルより前に出てくる『影たちの対話』と対になっているのかもしれないけれど、そのあたりはよくわからない。

ミッシェル・ド・モンテーニュのある話』は背景音がほとんどなく『オー、マイキー!』みたいな気持ちになっていた。彼女じゃなくて銅像のほうが部屋に移動していたらリュック・ムレの映画みたいで笑ったかもしれない。