ジョー・ダンテ『ザ・ホール』を久々に見直した。一本軸で進んでいるようで、実は関係のあまりなかった個々人のエピソードだとわかっても、不思議と穴の周囲で繰り広げられる物語としてバラバラにならない。
特にピエロと父親をめぐる、技術とその見せ方の品の良さには惚れ惚れする。
警官のゾンビが出てきたあたりからか、少女のエピソードを挟んで、父の幻影が一気に重要になるあたりの、画面外からの声の演出もよかった。母親がいなくなり、隣室の声にも意識が向かうような状況になってから、いよいよ家の外との繋がりがなくなっていく。
少女の霊が落下する画を撮らなくても、美しい別れになる。兄がロープを手に飛び降り、排水溝が壊れ、水の零れ落ちていくまで、映画を一気にクライマックスへ向けて加速させる。ほかにもいろいろあるけれど、何度か見直したい。
そしてドライヤー『吸血鬼』も、つい最後まで。