『静かに燃えて』

www.shizukanimoete-movie.com 小林豊規監督『静かに燃えて』を下北沢トリウッドにて。筒井武文氏による公式サイト掲載の「二度見るべき映画である」と煽動する評が間違いないことを証明するように、無料配布されたパンフ掲載の批評には見終えた方を想定して…

『ラジオ下神白』

山形に行けなかったので小森はるか『ラジオ下神白』を見に東工大へ。山形の続きみたいな人がちらほらの会場だった。途中から入場する人が多かったり、肝心の場面で画面が暗くなったり(明らかに映写トラブル、主催者からは上映後に一言くらいあってもよくな…

「黄金町秋のバザール 誰も知らないアーティスト」鈴木史の展示について

koganecho.net 「黄金町秋のバザール 誰も知らないアーティスト」にて展示中の鈴木史作品を見に行く。「八番館」会場は塩竈市杉村惇美術館での個展「Miss. Arkadin」を再構築したインスタレーションに見えるが、映像作品『祈ることは思考すること』は「Miss.…

『春画先生』

金曜夜のイチャイチャしてる新宿にて塩田明彦監督の問題作『春画先生』を見る。直前に見た小森はるか『ラジオ下神白』が霞みかねない勢いで困った。とはいえ『春画先生』の地震も、やはり東北震災から10年以上経った描写だなと思う(8年前の春画展の充実した…

『バーナデット ママは行方不明』『私の大嫌いな弟へ』『颱風』『九条武子夫人 無憂華』『輝く愛』『怪奇猿男』『盗むひと』

『バーナデット ママは行方不明』ケイト・ブランシェットが情緒不安定なママをやる映画とか思っていたら、リチャード・リンクレイターの監督作だと今日になって知る。『TAR』の影響かと思いきや、なぜか2019年作。コロナのせい? なぜにこんな半端に公開遅れ…

『移動する記憶装置展』(監督:たかはしそうた)

www.youtube.com pff.jp pff.jp ある町に住み続けた人が語る音声を、その取材した場所でイヤホン越しに聞きながら、廣田朋菜は声に出し(彼女は録音の場にいず語り手の姿を見ていない)、佐々木想のインスタレーションのために撮影するシーンが続く。映画の…

ほぼ通えなかったPFF、『グラン・ツーリスモ』

PFFにて久しぶりに相米慎二監督『ションベン・ライダー』(83年)。このタイミングで『ふられてBANZAI』を聞くのもジャニーズとはなかなか縁が切れないからか? もちろんマッチの声ではなく河合美智子の声で頭から離れず、直後の『どこまでもいこう』になか…

『ミニー&モスコウィッツ』

stranger.jp ストレンジャーのカサヴェテス特集へ。『ミニー&モスコウィッツ』、シーモア・カッセルが初っ端のインパクトある大柄の男から「若造」と呼ばれているが髭も伸ばしているしガタイも良くて年齢不詳だが当時36歳か。今の自分と同じ年だった。やっ…

『スイート・マイホーム』

齊藤工監督『スイート・マイホーム』を見る。長編の前作は見ていないが、これはなかなか面白かったので終盤までは本当に見て良かったと思った。刑事が電話をかけてきたあたりから、ちょっと大丈夫か?と不安になり、それでも人形を撫でる画を見て、イタリア…

『アステロイド・シティ』『マリとユリ』

本当に公開するのかわかってないうちにウェス・アンダーソン『アステロイド・シティ』始まっていたから見に行く。もう初っ端の画面いっぱいに走る列車から単純に興奮してしまって、クレジットが全然目に入らず。さらにキノコ雲。ウェス・アンダーソンのウエ…

『Flip-Up Tonic』監督:和久井 亮

pff.jp 9月9日(土)11:30~/9月15日(金)14:30~ 小ホール Fプログラムにて上映。 ある大学の研究室が開発した人型ロボット「LEACHAR」(リーチャー)と数時間の行動を共にする被験者のアルバイトに学生のタラノは参加する。しかし同行していたリーチャーの「…

『エイジアン・ブルー 浮島丸サコン』

www.nfaj.go.jp 加藤周一「〈夕陽妄語〉『エイジアン・ブルー』の事」『朝日新聞』(1995.9.20) pic.twitter.com/co8psvAI3c — 永田 誠 (@nagatamako) 2023年5月16日 堀川弘通監督『エイジアン・ブルー 浮島丸サコン』を国立映画アーカイブにて。題材と内容…

『サントメール ある被告』『大いなる自由』『Cowboys and Angels』

ストレンジャーにて『サントメール ある被告』(アリス・ディオップ)と『大いなる自由』(セバスティアン・マイゼ)。両作とも撮影監督がセリーヌ・シアマと組んだことがあるという繋がり。 『サントメール』は呪術というワードの出た人種差別的な偏見によ…

『映画を語る 東映大泉篇・II』『キングダム エクソダス』『アリゲーター』『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』

『映画を語る 東映大泉篇・II』小松範任、伊藤俊也、澤井信一郎、小平裕、梶間俊一の座談会。構成・仲倉重郎追悼上映でもある。澤井信一郎が「コマッちゃんお茶にする?」というのを最初に思い出してしまう。『がんばれベアーズ 大旋風』のくだりで梶間俊一…

『ディス・イヤーズ・モデル』(堰下健太)

video.unext.jp tougakusai.jp これがいったいどういう映画であって、どういう作家によるものなのかが重要なのではなく、ただただ興味深い(はたしてタイトルにどれほどエルヴィス・コステロが関係あるのかも、私自身が詳しくないので触れられない)。「東京…

『エドワード・ヤンの恋愛時代』

『エドワード・ヤンの恋愛時代』または『独立時代』。見終える頃には『独立時代』という題のほうが相応しいと思うけれど、映画に二面性みたいなものを引き出したかもしれない。その二面性らしきものを今はっきり言葉にできる自信はない。大した事件が起きる…

『トルテュ島の遭難者たち』『大輪廻』『キングダム エクソダス』

ジャック・ロジエ特集にて『トルテュ島の遭難者たち』を見る。ロジエのギトリ氏へのリスペクトについては詳しくないが(いかにギトリ氏が映画の冒険者の先駆けの一人か)『あなたの目になりたい』の灯火管制の夜のシーンが『悪魔のいけにえ』化したような凄…

『バービー』『リボルバー・リリー』

グレタさんのことが嫌でも頭をよぎる暑さの中、グレタ・ガーウィグ『バービー』を見る。漠然と『若草物語』でスピルバーグっぽい長回しでカメラ動かしていた気がするが、今回は『レディバード』の時のカットバックメインでやってて、そっちの方がやっぱり良…

『フィフィ・マルタンガル』

ジャック・ロジエ特集にて『フィフィ・マルタンガル』。日仏以来の再見。今年に入って見たカジノの出てくる面白い映画は『クイーン・オブ・ダイヤモンド』『カード・カウンター』に続き3本目か。しかも三者どれも別々のアプローチだから印象深い。冒頭のイヴ…

『天使の影』

ダニエル・シュミットの『天使の影』をようやく見る。トム・クルーズは大事なカットで本当に瞬きをしないという話を最近読んだが、映画を見ている側もどれくらい瞬きしないでいられるか。これがパソコンやスマホやゲームなら平気で何秒も瞬きせず、眼に大変…

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』

クリストファー・マッカリー✕トム・クルーズの『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』毎度タイトルの意味がよくわからないまま見るが、今回は最初にサラッと教えてくれた。あとタイトル前に出た謎の侵入者がビッグモーター社長に見えた…

『ゴールデン・エイティーズ』『119』

シャンタル・アケルマンの『ゴールデン・エイティーズ』をようやく下高井戸シネマで見る。なんとなく見たふりをして知人と話を合わせてきたが、これでようやくスッキリ。『拳銃魔』のポスターやら何やら映画館に貼ってあって、今作はジョセフ・H・ルイスとい…

『夢の涯てまで』(構成・編集・監督:草野なつか)

stranger.jp 「私は広島に行ったが、何も見えなかった」字を書く手の速度に宿る逡巡を読み取るものかはさておき、「君は」ではなく「私は」であったと思う。映画は「広島」が主題として見られるだろうことから逃れようとはせず、そして広島の名は冒頭に綴ら…

『探偵マーロウ』『アル中女の肖像』『君たちはどう生きるか』

ニール・ジョーダンとリーアム・ニーソンの『探偵マーロウ』を見る。特に何も言う蘊蓄も思い浮かばないが、これは見て良かったんじゃないかなあ、と曖昧な感想しか言えないが、しかし探偵モノはやっぱり良い。ニール・ジョーダンも70歳過ぎてるのか。最近具…

『怪物』(是枝裕和)

是枝裕和の映画を見るのも今の日本を生きる人間のさだめと諦めて『怪物』。わかりやすい誇張とそれっぽさの塩梅。映画内の細部から作家自身の視点まで含めて曖昧さを残すが、そこから導き出されるのは多様性もクソもなく漠然と収まるべきところに収まった感…

『小説家の映画』(ホン・サンス)『インディ・ジョーンズと運命のダイアル』(ジェームズ・マンゴールド)

ホン・サンス『小説家の映画』を見る。小説家が主役の映画でもあり、小説家が映画を作る話でもあるが、いずれにせよ『小説家の映画』である。最初はもはや無の境地にでも達したような、何を見ているんだろうと置いていかれそうになるも、それでも序盤から映…

『Terra』(鈴木仁篤、ロサーナ・トーレス)

www.nfaj.go.jp www.athenee.net ↑「丘陵地帯」について 鈴木仁篤、ロサーナ・トレス インタビュー(聞き手:赤坂太輔) 国立映画アーカイブにて『Terra』(鈴木仁篤、ロサーナ・トーレス)。撮影:鈴木仁篤 録音:ロサーナ・トーレス 編集:鈴木仁篤、ロサ…

『少年と犬』『十月のレーニン』『65』『アダプション』『アフターサン』『春の劇』『暗闇の秘密』『殺し屋ネルソン』『TAR ター』

ひょっとして気圧のせいか、前夜の酒が抜けないのか、寝不足か、せっかくの休みだがやる気出ない。『ター』を見る気力わかず、L・Q・ジョーンズ監督『少年と犬』をシネマート新宿の大きい方に見に行くが、なんだかその判断が最善だったかわからない一日。別…

日記ではないが雑感?

映画監督とは信用できない人かもしれないが、監督作品を見ながら信用をしたくなることはある。なぜ鈴木則文の映画は中島貞夫よりも、東映の名匠や奇才よりも信頼したくなるのか、というか『トラック野郎』シリーズの一作目を見直して思った。加藤泰やマキノ…

青石太郎 作品上映会(キノコヤにて)

青石太郎 映像作家 サイト https://aoishitarou.com/ キノコヤへ青石太郎上映会を見に行く。 『時空は愛の跡』。158分。撮影期間はわずか5日間らしい。劇中で流れる時間も5日くらいか。やや、というか失礼なくらい意識がボンヤリしたまま見てしまった箇所多…