『香港パラダイス』(90年 監督:金子修介)

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本作の助監督の片島章三は『カツベン!』の脚本・監督補でもあるが、90年にできていたことを2010年代の締めにやる意義を確かめるためにも両方とも見るべきなんだろう。バブル特集が、たとえば国定忠治特集を控えているような名画座で上映される最後の時代の日本映画であって、これより後はさらに歪な映画たちになっていくのかもしれない(非常にいい加減な推測だが)。
小林薫が死んだかもしれないという場面が一時停止したように見え、絶体絶命かもしれないピンチの合間に「ちょっと何(スカートのなか)見てるんですか!」の一声でリセットされたように前後がどうでもよくなる。小林薫の嘘と斉藤由貴の記憶喪失に何度も振り回される映画だが、ついには「何度も何度も……」という台詞でもって、それが斉藤由貴でなく淡路恵子の過去であってもかまわないと言わんばかりに、時をこえて二組の男女は結ばれる。
事態をかきまわす脇役のなかでも内藤陳は斉藤由貴に催眠をかけた瞬間はあいまいだが、本当に解いているのかはさらに不明にされるくらいいかがわしいが、小林薫が見送る合間にバタバタ動いている姿はなぜか感動的である。さらに催眠術を使えているのか怪しい天本英世はスクリーンを煙幕と火花で覆う怪人として活躍する。「俺の責任だ」という台詞も、あまりに遠回りな目的達成のための本当に必要かわからない役にふさわしい一言だ。シャークもどきの我王銀次もなかなか面白かった。阿藤海ふくめ、この5人が既に亡くなっているだけで、世の中だいぶ変化しただろう。