2018年新作ベスト

蝶の眠り』(チョン・ジェウン
犬ヶ島』(ウェス・アンダーソン
『草の葉』『それから』(ホン・サンス)※『川沿いのホテル』は見逃した。
『いかにしてフェルナンドはポルトガルを救ったか』(ウジェーヌ・グリーン
フィフティ・シェイズ・フリード』(ジェームズ・フォーリー
レディ・プレイヤー1』(スティーブン・スピルバーグ
15時17分、パリ行き』(クリント・イーストウッド
つかのまの愛人』(フィリップ・ガレル
『女と男の観覧車』 (ウディ・アレン)

蝶の眠り』序盤の女子マラソンとか、結構くだらないギャグから助走をつけていって一時間くらいしてからの、神社デートから涙が止まらなかった。キム・ジェウクがとにかく良かったのに比べて中山美穂はじめ他の役者に関しては誰が良かったとか言いにくいけれど、どの人も気にならなくなる。『マディソン郡の橋』みたいな別れも素晴らしかった。
ホン・サンスは『川沿いのホテル』を見逃したが、特にこの二本からどちらかは選べない(『正しい日 間違えた日』は2016年のTIFFで見たから何となく外してしまった)。『それから』の、これ以上登場人物の誰にとっても何も語る言葉は出て来ないという締めくくりが凄まじい。『草の葉』はまるで人生において最後に思い出せるいくつかはこんなことじゃないかという映画だった。
犬ヶ島』は(最近山下耕作を見ながら思ったことだが)単純な分け方かもしれないが、同時代の他の映画を積極的に取り込み続ける作家と、何らかの原点を求めるように映画を撮る作家がいるとして(本当に分けていいのか怪しい)『犬ヶ島』はホン・サンスやガレル(『つかの間の愛人』よりは『現像液』だが)と並んで後者の映画だと思う。『博奕打ち いのち札』のラストと共に悪夢から醒めるか、それとも見られなかった美しい夢想へ逃避するのか、どちらとも取れるような映画であって何か重なるように(勝手に)感じる。犬を毒殺できるならば次は人間を殺すのだという現実を予知する悪夢と、子どもたちが阻止する美しい夢想の合間を、神社で眠る犬に(やはり勝手に)感じる。単なる印象だが、ほぼ同じことを『15時17分、パリ行き』にも(やっぱり)感じる。少年時代に泣く。
フィフティ・シェイズ・フリード』は大半は集中できなかったが拳銃と誘拐事件からは何度か見返す必要ある。シリーズを締めくくる台詞が良かった。
ウジェーヌ・グリーンの『いかにしてフェルナンド~』は映画祭関連で見た新作の中では(ホン・サンス除いて)素直に面白かった一本。
『女と男の観覧車』見ながら「映画とは火遊び」という言葉が思い浮かんだ。