ロメロ『マーティン』Blu-rayにて。初見での地味な印象とは変わって、むしろ曖昧に時制や虚実の決定が先伸ばしにされていくことをボンヤリした退屈さとして受け止めていたのに気づく。見直したら若松孝二の性犯罪映画を思い出すなんて言ったら、いかにもな例えかもしれない。また(さらにいかにもだが)カサヴェテス的な時間が導入されているように感じる(『オープニングナイト』の怖さとは別だと思う)し、同時にフラッシュバックとも異なる映画内映画的妄想が時制を決定づけない。特に映画二件目の犯行における終盤での時間の操作は「密室における若者の性犯罪」を扱う上での、どこまで直接的に映して許されるのかという倫理の問題が「吸血」という題材によって緊張感をもって演出される。さらには電話とラジオ。ポケベル以前からやはり室内の電話は重要だった(それが犯行において発揮される残酷さ)。陰鬱極まりない映画だが若さによる行き場のない衝動と向き合っている。