2016年邦画新作を振り返る。順不同。

 

『ジョギング渡り鳥』(鈴木卓爾
『団地』(阪本順治
『クリーピー』(黒沢清
『ヴィレッジ・オン・ザ・ヴィレッジ』(黒川幸則)
『さらば あぶない刑事』(村川透
『人間のために』(三浦翔)
『遠い火/山の終戦』(小森はるか、瀬尾なつみ)
『タクシー野郎 昇天御免』(川田真理)
『瑠璃道花虹彩絵』(西山洋市

天竜区』シリーズ(堀禎一

 

『人間のために』の登場する学生たちが官邸前抗議でのコールやスピーチを自分たちのリズムで発声するシーンに尽きる。「地点」を経由したかのような探り方で、彼らは多くの人と共に発することのできた、もしくはスピーチとして一人が語った言葉たちを、今度は自分の言葉として再び声にしようとする。そして見聞きする側は学生の言葉をメッセージとして受け止めるのか、ノイズとして聞くのか、声をめぐる境界をさまようことになる。

『タクシー野郎 昇天御免』、撮影所や名画座の歴史を捻じ曲げて過去を捏造した結果、殺意を覚えるほど寒々しい光景が繰り広げられる。東京藝大の映画では『彼方からの手紙』以来、唯一感動した。『さらば、あぶない刑事舘ひろしをはさんでの浅野温子菜々緒の切り返しから、柴田恭平と迎える最後の撃ち合いの飛躍にショックを受ける。吉川晃司の真似がしたい。

堀禎一監督と渡邉寿岳さんの組み合わせがどうなるのかが一番気になる。

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