試験前はいろいろなことに気が散ってしまった。

ゆりあさんがTwitterで紹介していた(調べたらほぼ一年前だった)『ハウアーユー?』(山本美希)や、初めてのW・G・ゼーバルト土星の環』など読み始める。『ハウアーユー?』は試験後に、とりあえず最後まで。自分の幼さも鷲掴みにするような作品で、読んで良かった。

土星の環』は柴田元幸の解説にある「横滑り」という言葉でしかうまく言えないけれど、レンブラントの絵画からの視線、イギリスからドイツへ飛び立つ爆撃機の話など、随所に入る切り返しも刺激的。

DVDで『中国女』を途中まで、『ありきたりの映画』も途中まで、そして『うまくいってる?』を、つい最後まで。『うまくいってる?』は『ヒア&ゼア』に比べると正直よくわかっていなかったことを恥じる(たぶん字幕に気を取られていたのだろう)。ショットの一つ一つが音声と切り離されていくほど、『中国女』と比べてずっとシンプルに見える演出をしていることが、そもそも非常に重要なんだと、ようやく、だが個人的にはかなりグッと来た。

『黒衣の刺客』にしても、カットの変わった瞬間に突然スローになるアクションがあるけれど、あの動きの前後については、シーン内の時間経過をどの程度操作しているのか、していないのか、いつも以上に掴みがたいものがある気がする。カーテンが切り離す男女の間に流れる時間のズレ。妖術によって別々の空間が結びついて、突如物語を決着させたかのような展開。拳銃とほぼ匹敵する弓矢、放られる剣。役者の台詞が交わされることで掴めたかもしれない、おそらく物語との、映像の切り離され方。徹底して同期しているようで歪んでるかもしれない空間と時間。画面を包む煙。