寝坊して『母と子』に間に合わず。
フィルムセンターで『濡れ髪三度笠』。初見では「結局やくざかよ!」なんて引いた目で見た自分を恥じる。花火の打ち上がる画と音を挟んで、切られたはずが撃たれたように倒れていく演出は、赤坂太輔さんが『東海道四谷怪談』で指摘していたことを思い出す。こちらのほうは、もうわざわざ言うまでもないギャグになっているが。
フランス映画祭に行こうか悩みながら渋谷で渋谷実(恥ずかしい)。
『現代人』、またまた恥ずかしながら初見。生理的に合わず体力を搾り取られる。なんだかんだ、この池部良はよくわからん。
『二人だけの砦』がさらにどう反応したらいいのかわからない映画で疲れる。ミヤコ蝶々の鞄から出てくる猫がとてもかわいいので癒されるかと思いきや、後半ゾッとするほど扱いが変わるので怖くなる。窓越しに大した反応もしてくれない仲間たち(?)を見つめる黒猫のカットが、無理やりにでも彼(とアイ・ジョージ)の置かれた立場のようなものを表現しているのがかなりおかしい。岡田茉莉子アイ・ジョージと黒猫に向ける愛憎を、観客としてこちらも抱く羽目になったと思えばいいのか? 最終的には池部良と同じく何一つアイ・ジョージに同情する気になれなくなる展開の一つ一つ、外し方が凄い。何が何だかな映画だが……。
有楽町に移動して『夜、アルベルティーヌへ』を見るか悩むが、そのまま下の階へ降りて『みちていく』。『螺旋銀河』と並べて見たくなる映画だった。『濡れ髪三度笠』と同じ日に見てよかった気がする。この三本だけでなくそもそも大半の映画が訴えかけているかもしれないことを、自分はまだ見て見ぬふりをして全能感に浸り、怠けている。
Twitterを見ていず、渋谷のデモのことも忘れて映画館にこもっていたことに気づいて、ひどく虚しくなる。
中原昌也の人生相談を購入。劣化コピーしか書けない自分のような人間にとって、ただただ耳の痛くなる話が続く。僕のセルフプロデュース能力は相談者以下だ。今すぐ文体を変える努力をすればいいだけの話か。別に中原昌也の文章だけ読んでいるわけではないが、これまで読んだ本の文章をうまく思い出せない(写経すべきか)。