ユスターシュ『ぼくの小さな恋人たち』(74)を見に行く。僕より情熱的な二人が満席で入れなかった。僕のような中途半端な人間が見てよかったのだろうか。初見時よりもずっとブレッソンのことがちらつく。『白夜』(69)『やさしい女』(71)を見れたのが大きいかもしれない。しかしこれより後の77年に『不愉快な話』と『たぶん悪魔が』が、ユスターシュ亡き後に『ラルジャン』(83)というのが何だか当然のような、異様なような。

サーカスのシーン、やはりガラスの芸で、映画館の席から少し悲鳴が聞こえる。その後の真似事には笑い声が(いま思うとこの二つのシーンによって『不愉快な話』に通じることをしていたと気づく)。祖母の家に帰ってから友人たちの現れる瞬間、『ジャージーボーイズ』のラストで振り向くと若返っているみたいな感じに見えた。やはりイングリッド・カーフェンの登場からすべて夢だったと思いたくなるような。かつての思い出について語る時の距離、それを見る側に必要とされる距離など意識させる。『不愉快な話』や『アリックスの写真』へ繋がるのだろう。映画館でのキス、『デンジャーヒート』の映画館での銃撃戦みたいだった。ラシーヌのエピソードは誰かの話だっけ。

ユリイカ』は見ずに帰ることにする。上映開始まで何人かの会話に交じる。ろくでもないことはしなかったはず。後半目立つ身長の低さ(マルタン・ローブ、59年生まれ。おそらく15歳)も、10代で見るとそれはそれで感情に訴えかけるものがある、と経験者が語っていた。

話題に上がった立教の学生が撮った『落第生』という映画が気になる。

立教大学 映像身体学科 卒業論文・卒業制作展: 作品情報4<万田邦敏クラス>

こういう映画はもう見る機会がないかもしれない。いろんな学校に顔の利く組織の人が評価する映画よりは、個々の映画サークルで、まともな感性のサークル員が推していく映画を見た方が面白いに決まっているわけだが(乱暴な話ですが)。

 

 

※6/24 リンクを削除、修正

リンクを挿入したことにより、ご不快な思いをさせてしまい申し訳ありませんでした。やはり僕自身の不勉強さ、調べられることを怠ってしまう態度への反省を込めて、あと素直にツイートが面白かったというのもあって引用しましたが、一方的で配慮が足りず失礼しました。